春菊の茎がうまかった
春菊が古くなって一束100円で売られている。細身の白ねぎが安かったので買う。上さんが国産ながら100g200円くらいの安売り牛肉を見つける(今時、豚肉だって気の利いたヤツならグラム200円超だ)
こうなれば、「すき焼きのようなもの」を作って食らうしかない。最近気温も低くなったし。そういえば、焼き豆腐はないけれど、豆腐を軽く上げたヤツ(厚揚げほどディープに揚げてないヤツ)もある。
「すき焼きのようなもの」とは、「牛肉を食うことを目的とせず、牛肉の出汁でねぎ・春菊・豆腐・白滝を味わうもの」というような意味合い・物言いだ。
春菊は茎と葉を切り分けながら、黄色く変色してるところを取り除く。ねぎは青い葉っぱの部分も食うから葉っぱの先っちょの変色したところ以外は斜め切り。
まず、牛脂で牛肉を焼く。色が変わったらフライパンから取り出して別に置いておく。
割り下(これが実にいい加減で、肉を焼いたフライパンに水、酒、砂糖、醤油、ほんだしを量を測らずに入れて混ぜただけ)を煮立てたら、春菊の茎、ねぎを煮る。途中で味見。ちょっと甘すぎるから醤油を足す。豆腐の揚げ物を一口大にカットして投入。春菊の茎とねぎが柔らかくなったようだ、と見れば最後に春菊の葉の部分と焼いてあった肉を。少し煮て完成。
白滝はあるが、なぜか今日は「白滝気分」でないから入れない。
上さんと食す。(俺は溶き卵で食す)たまたま最初に喰った春菊の茎が実にうまい。味つけもいいが、何より歯ごたえが最高。固さ(柔らかさ)がちょうどいい。俺の調理は実にいい加減と言うか、定量的でないから、再現が難しい。「一期一会」なのだ。素材・素材の切り方・調味料・火加減・調理時間・・・また同じことやれ、と言われてもできない・・・もしかしたら春菊の古さ加減がよかったのかもしれないし・・・
上さんも「春菊がうまい」と言う。
今日は昼間30度を超える暑さ。「すき焼き日和」ではない。だが、お日様が沈んだとたんに気温が急落したから、今シーズン最初の「すき焼きのようなもの」にした。料理は一期一会だ。いくつかの偶然の積み重ねで、たまたまうまくできた春菊の茎を上さんと二人で「うまい」「うまい」と言い合って食らう。最高の幸せのひとつだ。これが新鮮で高い春菊だったら、うまいのが当たり前だからこんな幸福感は得られない。
閑話休題:
俺はすき焼きは溶き卵で喰う。上さんは卵なし。そのくせ、上さん、卵ご飯(誰だ、”卵かけごはん”なんてつまらない日本語を使い出したのは!?)は食う。俺は上さんの真似をして卵ご飯を食い始めるまでは「生の白身がハナ(痰)みたい」と食わなかった。そう言えば上さん、茹で卵の黄身が嫌い(”粉っぽい”んだそうだ)。そのくせ、和菓子の「きみしぐれ」は好きと来てる。・・・「きみしぐれ」って、俺に言わせれば粉っぽさを味わう菓子なんだが・・・卵を巡る好き嫌いは繊細というか、細かい。
そういえば、ねぎの白いところ(茎?)はどこへ行っちまうんだろ?鍋料理では、ほとんど原型をとどめない。煮始めの時は”主役”なんだが、出来上がるどっかに行っちまう。
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