塩生七生さんから教えられる
文藝春秋連載の塩生七生「日本人へ」で、 東洋ライスの雜賀慶二社長を紹介している: この人は、九十二歳になった今でも考えつづけているらしい。今度は、備蓄米と呼ばれてきた古米を、新米と変らない状態のままで保存する方策。しかもこの方策に到達した氏の思考の源泉が、「コメの身になって」とか「コメと対話を続けた」結果というのだから笑っちゃう。「既製品の小型保管庫を自分たちで改造して、コメにとって一番心地いい状況をつくっただけ。特別なガスを入れるなんてことは、一切やっていません」というのだから、笑いながらも感心してしまった。 しかももともとからして技術屋であるこの人は、「エコグリーンカプセル」と名づけたこの技術を公開実験する。新米と、この技術を使った古米を、食べ比べてもらったわけですね。その結果、立ち会い人が食べても研究所で分析してもらっても、新米よりもかえって熟成した古米のほうが美味かった、というのだから愉快ではないか。 そして、この成果をもとにして、雜賀氏の頭はさらに飛躍する。この技術が日本中に普及すれば、米農家の経営を安定させることにもなるではないか、と。 米農家が経済的に安定しないのは、需要と供給の見通しが立ちにくい業種であるからだ。それがこの人の思いつきが全国的に普及するようになれば、生産者と消費者の双方ともが、恩恵を享受できることになる。なぜなら、新米と古米の味も新鮮度の差もなくなるのだから、国民は常に新米を食べるようなものだし、農家は収穫した米をどんどん貯蔵すればよいのだから、収入も安定する。収入が安定すれば、米農家をやりたい人も増える。古米でも日本だけで消費できないものがあっても、なにしろ味も新鮮度も新米と変らないのだから、堂々と海外にも輸出できる、というわけ。 そして、これ以上のおカネもうけには関心のないらしい雜賀氏は、政府や自治体が採用する場合は、このノウハウのすべてを無償で提供する、と言っているのだ。他国の動向に一喜一憂しているよりは、おコメの問題もまた、立派な国の政治と考えて、天下りやら既得権保持で動きがとれないでいる農水省や農協は放っておいて、政府主導でやってみてはどうですか。おコメだけは、ホルムズ海峡の通航の行方には関係ないのだから。 (三月十九日記) >> 虚を突かれた。米を半永久的に?保存する方法さえあれば、需給バランスなんて無視...