伊藤貫「自滅するアメリカ帝国」②
以下抜粋: 冷戦時代、共産主義陣営を相手として闘っていた時のアメリカは、他の諸国から「自由主義陣営の力強いリーダー」と見なされて、アメリカの政治イデオロギーをそのまま国際政治に持ち込んでも、西側諸国の賛同を得ることができた。しかしソ連帝国が消滅し、二極構造が終焉した世界で、自国のイデオロギーを・・・時に国連や国際法を無視し、圧倒的な軍事力にものを言わせて・・・他国に押しつけようとしたアメリカ外交は、多くの国から冷ややかな目で見られるようになった。 アメリカ国民が好む政治史と外交史の解釈は、”アメリカは、自由と民主主義を世界に広めため、常に高い道徳規範と政治的な理想に燃えて世界平和と繁栄のため偉大な貢献をして来た”という筋書きのものだ。米政府、教育機関、マスコミ人は、現在もこの理想化された歴史解釈をせっせとプロモートしている。この”美しき筋書き”は、多くのアメリカ国民にとってとても心地よく、満足できる歴史観なのだ。そして都合の悪い歴史的な事実・・・例えば先住民インディアンの大量虐殺、奴隷制度、メキシコ領土の大規模な強奪、アメリカの外交政策がラテンアメリ諸国に腐敗した独裁政権(傀儡政権)を押し付けて来たこと等々・・・は、なるべく触れないことになっている。最近、ロシア(エリツィン政権)に「ショック療法」と呼ばれるアメリカ製の経済改革プランを押し付けてロシア経済を破壊してしまったが、これもすでに「アメリカ外交の忘れられた史実」になっている。 バランスオブパワー政策の必要性を理解できない「勇気ある理想主義者」たちは、しばしば、アメリカの政治イデオロギーを受け入れようとしない異質な国(異質な文明、異質な体制)を、完全に破壊しようと試みて来た。彼らは、「理想的な国際秩序」を実現するためには、敵性国の婦女子を焼夷弾やクラスター爆弾によって大量殺害してでも、「完全な勝利」と「最終的決着」を求めようとする。リアリスト派のウォルター・リップマンは「アメリカ人は、”正義のための聖戦をしている”という幻想に自己陶酔しているから、世界中で際限もなく軍事介入したがる。いつになったらこの国は、虚栄心を捨てて成熟した大人の国となり、”軍事力の行使には限界がある”という当たり前の教訓を学ぶのだろうか」と嘆く。 アメリカは敗戦国日本に対してもディモナイゼイションと戦争責任追及プロパガンダを行っ...