"Violets for your furs"

 たまたま、Matt Dennisの”Violets for your furs"の動画を見たら、実によかった。なんでもRosemary Clooneyにこの歌ができた経緯を明かしながら歌ってるんだそうだ。この歌、歌詞の内容は恋に落ちた瞬間を歌ったもので、希望に満ちた明るいもののはずなんだが、歌を聞くと、もの悲しい。

作詞者のTom AdairはMarttの友人で、ある晩、TomとMattがクラブに行った。Tomは彼女とケンカ中だったが、ふと歌詞を思いついてテーブルクロスにそれを書いた…それにMattが曲をつけたのがこの歌だとか。恋に落ちた瞬間を懐かしむ歌か?

彼女とケンカ中だっからか、幸せいっぱいじゃあない。「ちゃんと”より”は戻るかなあ」と不安なのか?あるいは「あの頃はよかったなあ」というため息か?

この歌の歌詞の肝はYou pinned the violets to your fursだと思う。

You pinned my violets to your furs and gave a lift to the crowds passing by,
You smiled at me so sweetly, since then one thought occurs,
That we fell in love completely, the day I bought you violets for your furs.

すみれをもらった貴女が(毛皮の)コートのボタンホールにすみれを刺して(pin)、それを道行く人々に見せた。うれしそうな貴女の顔。それを見て僕もうれしくなった・・・二人が恋に落ちた瞬間だった…という歌詞。

YouTubeでMatt Dennis以外のを探していたら、John Coltraneのがあって、やっぱりいい。このアルバムは、俺がジャズを聴き始めて日が浅い頃、今から50年以上前に新宿のOZAWAで買った。初めて聞いた時からこの曲だけはいいと思ったが、アルバムの他の曲はいいとは思わなかった。俺のコレクションのスタートだから懐かしい。

さて、他に"Violets for your furs"はないか?と探すと、当然、Frank Sinatraのもあるが、パスして探すと、Shirley Horn Trio "Violets for your furs"というアルバムが。このアルバムのジャケット、Shirley Horn 様のお顔のアップ。このお顔が西舘牧子みたいな迫力満点のお顔。どうしてこんな写真をジャケットに使うのかね???と思いながらタイトル曲の"Violets for your furs"を。彼女はピアノを弾きながら歌う。クラブでのライブか?お顔と違って演奏はしっとりして落ち着いていて、そこそこいい。

そしてBillie Holiday。Lady in Satinに入ってるヤツ。悲しくなる。絶唱だ。Billie Holiday、特にこのアルバムは音楽を聴くんじゃなくて彼女の人生を追悼する感じになるからあまり聞くもんじゃない。

Archie Sheppがピアノトリオとやったのがある。これは珍なる演奏だ。イントロはしっとりしたピアノトリオの演奏。Sheppがテナーを吹き始める。悪くない。Sheppと言えば、自由に「咆哮」するという印象だが、必死で咆哮を我慢して大人しくやってる。この曲にはガキを大人にする不思議な力があるのかしら。

閑話休題:

Matt Dennisの歌は日本で言うと「小唄」「都都逸」「端唄」だ。声量もないし、堂々と朗々と歌う歌手ではない。(確か、「四畳半シンガー」と言われていたんじゃあないか。)せいぜいピアノトリオの伴奏でしっとり聞かせるのだ。これをSinatraみたいに、ストリングス付きのフルオーケストラで大仰に歌われては…

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