朝日新聞、偉いぞ。
朝日新聞に「トランプ時代、日本の自主防衛は解か リアリズムから考える安全保障」と題して防衛研究所・千々和泰明さんへのインタビュー記事。朝日新聞がリアリズムから安保を考える防衛省の研究者にインタビューすることは素晴らしい(逆に言えば、数十年前まで朝日は「非現実的な理想論」からしか安保を語れなかった):
記事の抜粋以下:
核保有が良策でない理由
「日本の核武装に関するリアリズムの立場からの検討結果は、60年代に出尽くしている感があります」
「たとえば戦略的縦深性(じゅうしんせい)と呼ばれる問題です。国土に奥行きがある大陸国家と比べ、日本は国土が狭く人口が都市部に密集しています。万一核兵器の撃ち合いになったら先に壊滅するのは日本なのです。この状況では相手は『日本は報復してこない』と見るので、核抑止が成り立ちません」
「広島と長崎の悲惨な被爆経験を持つ国で核保有への国民的理解が得られるのかという問題も、もちろんあります。日本独自の核武装という政策は、戦略的にも国内的にも良策ではないと考えるべきです」
――では、日本が今採りうる防衛上の選択肢とは、どういうものでしょう。
「米は頼りにならない」の落とし穴
「一つは、拡大抑止の強化でしょう。核の傘の信頼性をより確保するために、日米間のコミュニケーションを緊密にすることです」
「もう一つは、中国などの近隣国との間で、通常兵力でのバランスをとることです。米国も中国もロシアも北朝鮮も核武装している現状では、核を持つ国同士の戦争は起きにくいので、勝負は通常兵器でつくことになります。日米を合わせた通常兵力を、中国などの侵攻意思をくじける程度に保つ必要があるでしょう」
――同盟相手である米国への信頼が低下していく状況で安全保障上、気をつけるべきことは何でしょう。
「日本の自主性や主体性を高めようという議論は大事ですが、『米国は頼りにならない』という議論が広がると結果的に中国やロシアや北朝鮮を喜ばせることになります。日米が離間することはそれらの国々の利益になるからです。日米の結束を弱めないようにする努力が求められています」
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ロシアはウクライナの裏にEU,NATOがついているから核兵器も使えず、ウクライナと通常兵器で戦わざるを得ない。そこでウクライナに通常兵器を補給してロシアと防衛戦を戦わせる・・・日本もウクライナみたいに、核は持たず、アメリカに核兵器で睨みを利かせてもらい、また、通常兵器でも支援してもらう・・・これが最新版の戦争に基づいた”リアル”な国防論だ。
ただし①:日本にウクライナみたいに国としての戦争遂行能力・体制・強い意志があるだろうか?戦争と言ったらアメリカ様に依存、じゃあないのか?だって、自衛隊って優秀な人材がそろっているとも思えないし、実戦経験ゼロだし、日本人には「攻めてこられたら戦わずに降参しちゃおう」という平和憲法信奉者が多いぜ。
ただし②:「日本は国土が狭いから核兵器の打ち合いに勝てない」は間違っていると思う。核兵器のみならず、通常兵器でも同じだろう。つまり、「国土の狭い日本は戦争に向いていない」のだ。その意味で平和憲法は正しい。通常兵器で攻められても狭い日本はロシアや中国やアメリカより早く壊滅すること必至だ。通常兵器でバランスなんて言わないで、通常兵器も含めて全部捨てて「アメリカさん、守って」が正しい。
ただし③:自衛するフリをしないとアメリカが守ってくれないから一応格好をつけるため自衛隊を持つのだ。(自衛隊は明らかに憲法違反だが、中露、韓国など日本に内政干渉したがる周辺国が「自衛隊は違憲」と非難しないのは「自衛隊は無力」と認識しているからではないか?)
防衛省の考えるリアリズムに基づく自衛の肝は、「アメリカに見捨てられないようにすがる」だ。その観点で、核兵器なんて持ったら、アメリカに見捨てられる懸念大だから持たない方がいいのだ。
日米の結束を弱めない努力って、広い意味でのコミュニケーション、狭い意味で言えば朝貢外交だ。日本は①自衛の意志を見せることを目的に軍隊を持ち②自衛の意志を見せることを目的に兵器をアメリカから買う 必要がある。
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