民主主義にはカネがかかる
民主主義は何かを決めるのに時間がかかる。時間をかけているうちに利益機会を失う。往々にして「みんなの意見」は間違っていて、リーダーや政策の選択・決定を間違える。そもそも多くの議員を抱えることにも金がかかる。 加えて民主主義を守るため、反民主主義の国を攻撃し、民主主義の布教活動もしなくてはならない。
19世紀のイギリスには植民地があり、それを支える海軍、海運、繊維・石炭産業があった。19世紀~20世紀初頭、イギリスはインドでは綿、中国ではアヘンを利用して収奪して得たカネがあったから世界の民主主義を主導した。
第1次世界大戦が起きて漁夫の利を得たのは、いずれも戦場にならなかったアメリカ、日本だった。日本はその金で政党政治を始めた。(大正デモクラシー)
アメリカは戦争防止のための国際協力を言い始め、それに乗っかったイギリスとともに日本の海軍力を制限した。(ワシントン、ロンドン条約)
同時にアメリカは民族自決なんてうまいことを言いだし、植民地はいけないなどときれいごとを言った。なぜかイギリスもそれに乗っかり、日本が新たに作った植民地・満州をめぐって日本は非難され、孤立し、負けるとわかっている対米戦争に突っ込む羽目に陥った。
イギリスは第2次世界大戦後植民地を失い、民主主義のコストに耐えることができなくなった。民主主義のために戦う役割はアメリカに移った。
アメリカは露骨な植民地という体裁ではないが、CIAを使って実質上の傀儡国を作った。ソ連・中国・北朝鮮に対する防共のために日本に、石油のために中東に、防共・麻薬のためにベトナムに傀儡政権・・・属国・・・を作った。(中東では日本のようにアメリカの言うことを何十年も聞き続ける国が少なくて苦労しているが)また、国内では安い賃金で働く黒人や移民を収奪した。
こうしてアメリカは20世紀の民主主義大国となり、世界の警察などと言われた。
1960年代、アメリカ国内では公民権運動、ベトナム反戦運動が起こった。
1970年代は中東戦争の結果石油供給が危うくなり、1978年にはイラン革命が起きて親米傀儡政権がつぶれた。こうして黒人やベトナム、中東といったアメリカの民主主義のコストを賄うものが弱くなった。
変わって1980年代以降アメリカに金を稼がせたのは金融とITだった。新しい基準を次から次に生み出し、それに世界中を従わせることによって、世界中を植民地化した。1990年代、旧ソ連やその衛星国家もその餌食となった。日本の新自由主義化、金融資本主義化もその流れだ。
アメリカは2001年中国を新たな植民地にすべくWTOに加盟させたが中国は解体後のソ連の身の上に起こったことをよく観察して学習し、アメリカの基準に従わず、植民地になることも免れ、安いコストで世界の工場となってグローバリゼーションを体現した。
2008年のリーマンショック以降、中国経済は世界的に影響力を強めた。アメリカは、旧ソ連やその衛星国家でうまい汁を吸ったのと同様のことを中国でもやろうと期待していたが逆に「ものづくり」の首根っこを押さえられてしまった。それどころか中国はアメリカに対抗して他国を中国流の基準に従わせようとしている。
アメリカの大統領に再選されたトランプは、民主主義的でない、と言われるが、本当は、民主党やWOKEISMの求める民主主義はカネがかかり過ぎて実現不可能だから、それにかかるコストをどうやって削減し、またどうやって金を稼ぐかを語っている。
多様性、平等、ポリコレ、コンプライアンス、SDGsと言ったWOKEISM・・・これらにトランプは文句をつける。民主主義にかかるコストを削減するためだ。「アメリカは止めるぜ、やりたい国はどうぞ」だ。「こんなきれいごと言い出す前のアメリカはGreatだったじゃあねえか」に「そうだ」という国民は多い。しかしアメリカの力の源泉たる自由だけは守る。
日本人だって平等以外は不得意だ。(自由も不得意だ)大統領制と違って野党様や少数意見にに配慮しなければならない日本の民主主義は面倒だ。この面倒を取り除ければ日本も変わりやすくなる。
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