春風亭一之輔「柳田格之進」を聞く
浪人の柳田格之進。碁会所である商家の主(あるじ)と知り合い、商家を訪れては碁を囲む仲になる。格之進が訪問して主と碁をやった夜、50両が紛失、商家の番頭は格之進に疑いをかける。主は格之進をかばって番頭に「馬鹿なことを言うんじゃない」と激怒し、「あの人はそんなことをする人ではない。なくなった50両は俺の小遣いにしたことにしてくれ」と言う。
主の格之進に対する友情・信頼を嫉妬し僻んだ番頭は、一人で格之進を訪問し、「紛失した50両は大金。奉行所に届け出る」と脅す。奉行所に届けられて家名に傷がつくのを恐れた格之進、切腹するつもりで番頭に翌日50両取りに来るように言い渡す。話を聞いていた娘が吉原に身を売って得た50両を翌日番頭に渡し、「もし50両が他所から出たら番頭と主の首を取る」、という約束をする。
その年の大掃除の時、商家の主が置き忘れていた50両が出て来る。一方、格之進は職を得て裕福になり、娘を請け出していた。格之進に巡り合った番頭が正直に50両見つかったと告げ、翌日格之進は商家を訪ねる。番頭から話を聞いた主は番頭に用事を言いつけ外出するようにさせ、訪れてきた格之進に、「50両取りに行かせたのは自分のはからいである、番頭に罪はないから首を取るなら自分の首だけにしてくれ」と頼む。隠れて話を聞いていた番頭が飛び出してきて、「あなたをかばう主を裏切り、嫉妬に駆られて50両取りに行った。主の命は助けて欲しい」、と頼む。主従の情に心を動かされた格之進はふたりの首の代わりに碁盤を真っ二つに切る・・・。
①嫉妬にかられ格之進を追求し脅す番頭の卑しさ
②娘の自己犠牲
③ばったり出会った格之進に正直に告白する番頭の正直
④かばい合う主従とハッピーエンド
出来過ぎた予定調和的ストーリーなのだが、聞くものを心地よくする人情噺だ。
閑話休題:
主人公の意地のために必要となった金を工面すべく、孝行娘が自ら吉原の身を売るというのは文七元結と同じ。そしてその対価が50両というのも同じ。商家で50両が行方不明になるのも同じ。
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