映画・陽のあたる教室(1995年)を見た

 話は1965年から始まる。主人公はバンドでは食えないのでJFK高校というの高校の音楽教師になる。

最初はプロの音楽家になれなかった、とい劣等感・挫折感もあって音楽教師に前向きに取り組めない。生徒もまじめに授業を受けない。教師らしいことを始めたのは学校のオーケストラでクラリネットをやってる女の子。うまく吹けない。居残り特訓をやるが、うまくできない。あきらめて、楽譜なんか見ないで目をつぶって吹いたらうまく吹けるように。(彼女は30年後に州知事になる)

次にドラムスをリズムに乗って叩けない男の子。この子にも居残り練習。うまく叩けるようになるが、卒業後、ベトナム戦争で死んでしまう。この子の葬式に、頭はいいが、授業中にヤクをやってラリてる問題児を連れて行く。死んだ子は「お前のように賢くなかったけど、努力をしてドラムスを叩けるようになった」と言う。

主人公は1965年当時、ジャズ界のカリスマだったJohn Coltraneを尊敬していた。男の子ができて、Coltraneと名付ける。その後、彼は耳が聞こえない、ということが判明する。父親と息子の仲はうまくいかない。父親は耳が聞こえない息子に絶望し、「音楽なんて分からない」と決めつける。手話もあまりうまくならない。それに反発する息子。

ベトナム反戦デモ、ジョン・レノン。ジョン・レノンは1980年に射殺される。ジョン・レノンが殺された日、息子に「お前にジョン・レノンなんて分からない」と言うが、息子は「教えてくれれば俺にも分かる。生徒ばっかり教えて俺には何も教えてくれない」と。(息子はこれを手話で訴え、奥さんの通訳で知るのだが)

それから息子にも音楽を教えるように。

1990年代に入って新自由主義の波が高校にも及ぶ。経費削減のために音楽を含むいくつかの教科が廃止となり、この音楽教師も60歳で首になる。首を告げる校長に「芸術を教えなくなればまともな人間はできない」と捨て台詞。この音楽教師のサヨナラパーティーが行われ、州知事も出てきてオーケストラでクラリネットを吹く。頭はいいが、授業中にヤクをやってラリてた問題児も顔を出す。

ここで映画は終わり。

ベトナム戦争、反戦運動、ジョン・レノン射殺、新自由主義によるリストラ・・・アメリカの1965年から30年間の歴史が描かれる。退職後、主人公がどいう人生を歩んだのかについては一切描かれない。どっちかと言えばハッピーエンドだが・・・新自由主義では大切なものを失う、と、大反対の俺には、気になるところだ。


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