おしんドローム
ちくま新書 筒井清忠編「昭和史講義」(戦後篇 下)より 村田晃嗣
バブル時代の政治
1983年4月4日、NHKの朝の連続小説「おしん」が始まった。「おしん」はわずか1月で視聴率50%に達し、11月には62.9%を記録するまでに至った。この番組は83年最大の社会現象となり、「おしんドローム」とさえ呼ばれた。多くの発展途上国でも「おしん」は大ヒットした。国際政治学者の高坂正尭は「おしんドローム」の逆説を鋭く突いている。「個人の美徳は常に公共の必要とは合致しない。勤勉は高い生産性と多額の貯蓄を生む。それらが現在の内需の不振と輸出の増大を招くのであり、その結果、膨大な貿易収支の黒字が生み出される」「現在の日本人が『おしん』とちがって、もう少し働かないか、あるいは浪費してくれる方が公共の必要に合致すると言えよう」
>>朝の連続テレビ小説、なかんずく「おしん」など辛気臭くて嫌いだった。ところが「おしん」精神が日本の外貨独り占めの淵源だ、とは…。たしかに80年代のバブルと呼ばれた浮ついた世相は反「おしん」だった。
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