まもなく米国中心vs.BRICS主導の「南北冷戦」が始まる…!そして日本は「脱欧入亜すべき」と言える理由

7月15日現代ビジネスに 大原浩という人が寄稿:

俺も、かねてより「日本はそろそろアメリカの属国をやめた方がいい」とは思っている。問題は、じゃあ①中国の属国②米軍はもちろん、自衛隊もやめてどこともくっつかない永世中立の非軍備な平和国家③北朝鮮をモデルとした核装備鎖国国家・・・のどれを選ぶかだ。 以下、記事:

いよいよトランプ、そしてどこへ行く米国・前篇

1941年6月22日、独ソ不可侵条約を破ってドイツがソ連に大規模侵攻を行った結果、独ソ戦が始まった。それを受け、7月22日に「英ソ軍事同盟」が結ばれた。

独ソ戦の当時者であったソ連はもちろんのこと、1939年9月1日、ドイツ軍がポーランドに侵攻したことに伴い宣戦布告した英国にとっても、ナチスドイツは敵であった。つまり「敵の敵は味方」という論理で両者が結びついたのだ。

1940年5月10日にはウィンストン・チャーチルが首相に就任しているから、「英ソ軍事同盟」は「反共主義者」として有名なチャーチルが締結したわけである。この同盟がソ連を含む連合国の勝利に結びついたから英断だとは言えるが、それほど英国が追い込まれていたといえる。

もちろん、このような「目の前の問題」を解決するための同盟が、「根深いイデオロギー的対立」を解消したわけではなかった。

1945年7月26日のポツダム宣言は英国、 米国、中華民国の政府首脳(つまり、チャーチル、ルーズベルト、蔣介石)の連名によって日本に発せられた。共産主義中国が建国される以前なので、資本主義国家の連合による宣言である。

共産主義のソビエト連邦(スターリン)は後から追認しているが、すでに1945年5月7日に「共通の敵」であったナチスドイツが降伏している。「敵の敵は味方」という理由で「水と油の資本主義国家と共産主義国家」が結びつく理由はポツダム宣言当時すでに失われていたといえよう。

そのため、「東西冷戦」は第2次世界大戦末期からすでに始まっていたとも言われる。しかし、東西対立の構造を明らかにしたのは、1946年のチャーチルによる「鉄のカーテン」演説であろう。この演説でチャーチルはソ連および共産圏を名指しで非難した。

1950年からの「朝鮮戦争」はこの「東西対立」が具現化したものといえる。これによって東西冷戦構造が決定的になった。

そして、1961年にはベルリンの壁が建設され、「鉄のカーテン」どころか、(万里の長城ならぬ)「石の壁」で東西が分断されることになる。

かつての「東西冷戦」同様、これからは「南北(冷戦)」が世界情勢を読み解くカギになるであろう。

6月9日公開「ついに世界の覇権移動が始まった…!『ジャイアン』アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している『衝撃の理由』」、昨年9月6日公開「サウジアラビア・イラン参加『本当の衝撃』…エネルギー覇権を握る『拡大BRICS』中心で、世界は『脱欧米』に向かう」などで述べた(拡大)BRICSとG7がその「南北対立」の中心軸となるはずだ。

戦いの主役は政治思想(イデオロギー)、軍事力から、金融・経済・先端技術へ移り変わりつつある。また、(拡大)BRICSはイスラム、共産主義、資本主義などが混在していることに注目すべきだ。

私が懸念するのは、前記「ついに世界の覇権移動が始まった…!『ジャイアン』アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している『衝撃の理由』」で述べたように、1991年のソ連邦崩壊後の米国一極支配が崩れ「多極化」する中で、「BRICS主導の『南』」と「G7中心の『北』」が「南北冷戦」状態になることである。

1991年のソ連邦崩壊は、「共産主義の敗北」、「資本主義の勝利」と喧伝された。少なくとも当時は、その認識が必ずしも間違っていたわけではない。だが、1989年のベルリンの壁崩壊から数えて35年の「(米国型)資本主義」による一極支配も、かつての(ソ連型)共産主義同様「崩壊」が目の前に迫っていると感じられる。

もちろん、毛沢東の中国、スターリンのソ連、ポルポトのカンボジアを始めとする、国民を恐怖のどん底に陥れた共産党一党独裁の国々を肯定する気は毛頭ない。しかし、資本主義も大きな欠陥を持っている。

資本主義は「人間の欲望を刺激し、潜在能力を引きだす」すぐれたシステムである。しかし、逆に言えば「人間が『本能』という『動物界のルール』に従って生きる」制度だ。産業革命期の英国の児童労働を始めとする過酷な労働環境は、まさにその「動物界のルール」に従った結果である。

もちろん「人間の本能」を否定するつもりはない。人間が「神が創造した特別な『生き物』である」という考えは傲慢だ。あくまで人間も動物の一種であり、「本脳」は人間が生きる上で重要な活力源といえる。

だが、人間が「高度な文明社会」を生み出すことができたのは、動物的本能に従った結果ではない。「知性」をフルに活用し「他者との協力」を重視したからである。

したがって、まるで西部開拓時代のような「米国型資本主義」が、「文明国家」で行き詰るのも当然だといえよう。

35年間、米国が「弱肉強食の『無法地帯』」であり続けた結果、6月18日公開の「いよいよ『米国民主主義』=『弱肉強食制度』が崩壊するといえる『これだけの理由』」となった。

その「米国型民主主義」=「弱肉強食制度」に抵抗する形で、前記記事2ページ目「共産主義の胞子がバラ撒かれた」わけである。「人権・環境全体主義者」と呼ばれる人々を含む、資本主義国家における共産主義の跋扈は厄介な問題ではあるが、「米国型(弱肉強食)資本主義」に対する抵抗勢力としての意味はある。

結局のところ、東西冷戦の当事者であったソ連邦が崩壊したことによって「米国型資本主義」が正しいと我々が信じ込まされてきた結果が、現在の世界の混迷である。

資本主義も共産主義も完ぺきではない。実のところ、両者は補完関係にあるようにも思える。実際、現在の資本主義国家の多くは、社会福祉や所得の再配分など、共産主義思想を多かれ少なれ取り入れており、産業革命期の英国のような「動物界の弱肉強食」のような資本主義ではない。

「中庸」という言葉が存在する。「極論」は分かりやすいが、大概の場合「最適解」ではない。両端の「極論」の間の「中庸」にこそ、「最適解」が存在するのではないだろうか。

問題は、「理屈の上で『正しいか』『間違っているか』」ではなく、「国民にとって何が『最適』」なのかを見つけることである。

その点で、共産主義イデオロギーに凝り固まっていた毛沢東時代の8000万人の人命が失われたとも言われる大躍進・文化大革命の惨劇から、改革・開放という「資本主義と共産主義との間の中庸」によって中国を大発展させた鄧小平の功績は大きい。彼の功績については、逆説的な表現となっているが、2019年1月9日公開「客家・鄧小平の遺産を失った中国共産党の『哀しき運命』を読む」を参照いただきたい。

前記記事の通り、残念ながら毛沢東路線回帰を鮮明にしている現在の習近平政権は、「中庸」とはかけ離れており、「共産主義イデオロギー丸出し」といえよう。

しかし「中庸の成功例」は中国だけではない。日本、特に高度成長時代の日本は「世界で最も成功した社会主義」と揶揄されるほどであった。当時はやった言葉に「一億総中流」がある。

その頃は「現状に満足している」とか「向上心が無い」というニュアンスでとらえられていた。しかし、日本も「米国型資本主義」の悪影響で二極化した現在、「一億総中流」がどれほど素晴らしいことであったのかよくわかるはずだ。

この時期には、「米国型資本主義」に毒されることなく、「日本型社会主義」とでも呼べるシステムにおいて、日本においてはかなり高度な「最大多数の最大幸福」が実現されていたのである。

そして、「大原浩の逆説チャンネル<第1回・特別版>大乱の八つのテーマと対処法」で述べた「八つの大乱」が激化している中で、世界は前記の二つを含めた「新秩序」を模索しているわけだ。

南北冷戦は、「欧米対非欧米」の対立とも捉えることができる。

欧米の価値観は概ね統一されている。逆に非欧米は共産主義、イスラム、資本主義など多種多様だからこそ民主主義的である。

そして、欧米の中で概ね統一されている思想を非欧米に「押し付ける」ことによって「非欧米」の大いなる反発を招いているのが現状だ。

第2次世界大戦中、水と油の資本主義国家と共産主義国家が手を組んだのは、ナチスドイツという共通の敵が存在したからである。同様に「米国型資本主義」を押し付ける「ジャイアン・アメリカ」を中心とするG7という「共通の敵」の存在によって、共産主義、イスラム、資本主義など雑多な存在が1枚岩となりつつある。

前記「ついに世界の覇権移動が始まった…!『ジャイアン』アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している『衝撃の理由』」で述べたように、バイデン民主党政権になってから加速した「ジャイアン・アメリカ」の横暴なふるまいが、「敵の敵は味方」という形で非欧米諸国を結束させたのだ。

2022年10月8日公開「ノルドストリーム・パイプラインを破壊したのは、本当にロシアなのか?」副題「欧州にもロシアにもメリットが無い」との疑惑は、世界中に広がっている。

ロイター 2月24日「デンマーク、ノルドストリーム爆発事故の調査終了 2カ国目」との事実は「真犯人が特定されたら西側(米国)が窮地に追い込まれる」との証拠と思われる。

また、ロシアの凍結資産を勝手に使うのは、国際法違反の言ってみれば「強盗行為」である。NRI 6月14日「G7がロシア凍結資産のウクライナ支援活用で合意」でも国際法に抵触する可能性が論じられている。

このような、国際法を軽んじる行動は世間で「ブリカス」と呼ばれる英国が、かつて「私掠船」=「国営海賊」によって発展した事実を思い起こさせる。

欧米に対する弱腰外交そのものは実害が無いが、言いなりになるのは問題だ。

日本はエネルギー・食料資源の多くを輸入に頼っているから、拡大BRICSと絶対に対立できない。日本が真珠湾攻撃に追い込まれたのも、ルーズベルトの石油禁輸措置が原因である。

大東亜共栄圏というと、戦後の自虐教育によって軍国主義の象徴のように思われているが、欧米に虐げられていた植民地を解放したことは否定できない事実だ。欧米は解放された国々を、ベトナムに代表されるように再び植民地化した。欧米こそが「軍国主義」によって、世界を植民地化し蹂躙した張本人である。

そして、これまで世界を支配していたG7が没落し、前記「ついに世界の覇権移動が始まった…!『ジャイアン』アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している『衝撃の理由』」のBRICSが並び立ち、今後はG7を凌駕するようになるであろう。

これまでは、軍事力、経済力の格差から欧米の横暴に耐え忍んでいた「南」が、一斉に声を上げ始めたことがBRICS急拡大の背景にある。

日本は明治維新期の「脱亜入欧」以来、唯一の非白人国家として欧米(北)側に立ってきた。

しかし、欧米の没落とBRICSの急拡大が明らかな現在、日本は明治以来の「北」(欧米)重視の政策を改めるべきではないだろうか?私には「南北対立(冷戦)」が最終的に「南」の勝利で終わることが明らかだと思える。

明治維新以来156年、再び日本は「決断」を迫られているのだ。


いよいよトランプ、そしてどこへ行く米国・後篇

軍事・経済における世界の覇権国家の座を失い始めた米国、その緩やかな衰退の過程を考える

世界のGDPの半分を占めると言われた戦後の黄金期から比べれば衰えたとは言え、米国のGDPはまだ世界のおおよそ四分の一を占める。いまだに、世界一のGDP大国であることは間違いがないが、2022年の中国のGDP世界シェアは2割弱でありその差をかなり縮められている。

それに対して、GLOBAL NOTE「世界の軍事費 国別ランキング・推移 <2022年>」を見ればわかるように、2位の中国のほぼ3倍と圧倒的な軍事大国として世界を恫喝している(ただし、中国の軍事費は公表されているものよりも実際にはかなり大きいとの推測もなされている)。

防衛省「主要国との国防費比較」によれば、米国の2022年の国防費の対GDP比率は2.85%とかなり多い。日本は0.93%(当時)だが、日本経済新聞1月29日「防衛費、27年度にGDP比2%、非防衛省予算は2兆円規模 データで読む安保3文書」へと向かっている。中国の1.19%というのは前述のとおり信憑性の問題はあるが、中国のGDPは近年急速に増加したので、GDP比率では意外に少ないという可能性も捨てきれない。

参考までに、同数値はドイツ1.31%、フランス1.88%、英国、1.94%、オーストラリア1.96%、韓国2.54%である。

そして、ロシアは3.09%であり、対GDP比で米国同様軍事支出の多い国だ。

注目すべきは、一人当たりの軍事費支出である。日本の4万円は突出して少ないが、ドイツも8万円と比較的少ない。第2次世界大戦の敗戦国であり、軍備増強に色々な制約が加わった結果だと考えられる。

フランス10万円、英国10万円、オーストラリア12万円、韓国12万円であるが、意外ともいえるのが、ロシアの11万円である。西側の国々とロシアを比較すると、一人当たりではほぼ変わらないということである。

そして、ずば抜けて多いのが米国の21万円である。セカイハブ「【2024年最新】世界の一人当たりGDPランキング(IMF)」によれば、一人当たりGDPにおいて米国は約8万5000ドルで世界第6位であるから、それほどの負担感は無いかもしれない。しかし、米国民が軍事費に対して多額の支出を行っているのは否定できない事実だ。

中国は、一人当たりの軍事費支出において突出して少ない日本をさらに下回る2万円(ただし、前述のように信憑性の問題はある)。もっとも、一人当たりGDPは約1万3000ドルで世界第72位であるから、それなりの負担感はあるといえよう。だが、一人当たりGDPにおいて米国が中国の約6.5倍であるのに対して、一人当たりの軍事費支出は10倍以上である。

ロシアとの一人当たりの軍事費支出と比べても、米国は約2倍であるから、結局、米国は「軍事大国」であり、その軍事力という「げんこつ」によって、特に1991年のソ連邦崩壊以降の世界を「ジャイアン・アメリカ」として牛耳ってきたといえる。

だが、米国の「軍国主義」を支える経済の方は、長期的に見れば衰退している。前述のように、戦後の黄金期には世界のGDPの半分を生みだしていたとされるが、現在の世界シェアはその半分の25%程度である。

その中で、2022年3月18日公開「プーチンだけが悪玉か―米国の『幅寄せ、煽り運転』がもたらしたもの」で述べたような「煽り運転」も含めて、世界中で戦争を引きおこし「げんこつ」を振るうための軍事費の負担が重くなっている。

日本だけではなく、欧州諸国にもGDP比2%の軍事費を「強要」しているのは、「米国の戦争」の費用を自国だけで賄うのが困難になってきた証拠といえよう。

しかしそれでも、1990年代前半以降のIT・インターネット、「新型金融」の隆盛によって好調であった米国経済は、絶え間ない戦争のための軍事支出に耐えることができた。

しかし、これからはどうであろうか?

1990年代前半から始まった米国の経済発展は、今や完全にバブルとなったことは3月18日公開「今、目の前にある1989年のデジャヴ~上り調子の市場で損をする人々の生態とは」で述べた。

かつての日本のバブルを凌駕するほど膨らんだバブルは、2008年のリーマンショックを新たなバブルでごまかしたことによって生じた。つまり、「二重バブル」である。日本のバブル以上の惨劇になるであろう。場合によっては、昨年8月31日公開「中国は崩壊か? それとも『失われる50年』か? いずれにせよ日本のバブル崩壊以上の惨劇が待っている」を超える惨劇となる可能性もある。

米国の経済的衰退は、2022年10月14日公開「米国は1971年にすでに死んでいた!?インフレで見えた本当の姿」で述べたように、半世紀以上も前から始まっていたが、いよいよごまかしが効かなくなって、本格的な落ち込みを見せるのではないだろうか?

米国が世界の覇権国家としての地位を維持するために、2番手を徹底的に痛めつけその差を広げる努力を欠かさないことは、日本人も「ジャパン・バッシング」によって思い知らされた。

「平和憲法」を自らが押し付け、事実上の武装解除を行った日本に対してさえ、経済的脅威とみなすや、1985年5月に対日非難決議が上下両院で可決された。そして激烈なバッシングの対象となった。読者の多くも「日本製自動車をハンマーで打ち壊す画像」をご覧になったことがあるであろう。

同様に、経済的に2番手として追い上げてきた中国や核武装では米国に並び立つロシアも、米国の覇権を脅かす存在としてバッシングの対象となったのだ。

ところが、バイデン民主党政権の軍事・外交政策の稚拙さもあって、その「バッシング」が上手くいかない。むしろ、2022年6月24日公開「ナポレオン大陸封鎖令の大ブーメランに学ぶ経済制裁で自滅する歴史」で述べたような大ブーメランによって、米国だけではなくG7を始めとする西側諸国のさらなる衰退を引き起こした。

米中貿易戦争においても、中国側がダメージを受けているのは明らかだが、米国側も部品やサービスの調達を始めとする多方面でブーメラン攻撃を受けている。泥沼状態だといえよう。

また、世間で騒がれている共産主義中国による「台湾侵攻」問題も実際には、前記「プーチンだけが悪玉か―米国の『幅寄せ、煽り運転』がもたらしたもの」で述べたように、「米国の煽り運転」である。

2022年10月8日公開「ノルドストリーム・パイプラインを破壊したのは、本当にロシアなのか?」で述べたように、ロシアには自国の貴重な財産であるパイプラインを爆破する理由が無い。蛇口を締めればよいだけのことである。

同様に、「台湾統一」は共産主義中国の悲願だが、日本を含む世界中のほとんどの国々が、共産主義中国を「唯一の政府」と認め、共産主義中国が「唯一の政府」として常任理事国の地位を占めている。

米国でさえ、共産主義中国が「唯一の政府」と認めているのだ(ただし、台北経済文化代表処を通じて台湾との非公式な外交関係を維持している)。米国が「煽り運転」をしない限り、中国が軍事侵攻という強硬手段で台湾を完全掌握する動機は乏しい。

米国は、実のところ「台湾有事」を煽って、その機会に中国を叩き潰そうというわけである。

だが、このようなバイデン民主党政権の外交政策が、非欧米の大きな反発を招き、前篇「まもなく米国中心vs.BRICS主導の『南北冷戦』が始まる…!そして日本は『脱欧入亜すべき』と言える理由」のように、(拡大)BRICSを経済同盟だけではなく「軍事同盟」へと変質させつつある。

その結果、米国が軍事的優位を維持している間に中国を叩き潰す作戦が、機能しない事態になっている。特に、核保有において米国と並び立つロシアがBRICSの中核同士として中国に近づいた影響が大きい。

しかも、毎日新聞「中国核弾頭、推計500発 世界総数は1万2000発超に」にあるように、中国の核弾頭保有数も前年同月から2割強増加と急速に増えている。

しかも、米国の「煽り運転」で始まったウクライナ戦争によって、これまで距離感があったロシアと北朝鮮がロイター 6月20日「焦点:ロシア『北朝鮮シフト』鮮明、北東アジアの地政学どう変わる」のように急接近した。

米国以前の世界の覇権国家は、「日の沈まない国」とも言われた英国である。

英国も産業革命の経済力を背景に、世界の多くの国々を軍事侵攻によって植民地化。世間では「ブリカス」とも呼ばれる「非人道的な支配」を植民地の人々に対して行った。

経済力と共に、軍事力が覇権国家としての英国の基盤であったが、その「基盤」が劣化したことは第1次世界大戦終結時にはすでに明らかであった。

だが、それでも世界の覇権国家として振舞い、ポツダム宣言の際にも、米国とまるで並び立つ国であるかのように振舞った。しかし、実際のところは、ルーズベルトの「お情け」によっていかにも対等かのように見せかけたというのが真実だ。すでに世界の覇権は、米ソ二大国で争う時代に入っていたのである。

そして、それ以後の80年間の英国の衰退ぶりは、読者もよくご存じのはずだ。

同様に、前記「米国は1971年にすでに死んでいた!?インフレで見えた本当の姿」で述べたように、米国の覇権国家としての衰退のサインは、半世紀前にすでに出ている。

そして前記「まもなく米国中心vs.BRICS主導の『南北冷戦』が始まる…!そして日本は『脱欧入亜すべき』と言える理由」で述べたように、(拡大)BRICSの台頭が、米国はもう「軍事・経済における世界の覇権国家ではない」ということを白日の下にさらすであろう。

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