TEACに日本の会社の縮図を見る

 40年来使って来たカセットテープデッキがとうとう壊れた。(再生開始直後に止まってしまう)

ネットで検索すると、TEACブランドで新品がまだ売られているらしい。通販サイトのレビュー欄を見ると、俺のように何百本もカセットテープを持ってるヤツが「まだ、カセットテープデッキを作ってくれる会社があってありがたい」とコメントしている。

TEACと言えば1970~1980年代テープデッキにおいては「値段も高いが音もいい」という最高級ブランドだった。かつては俺なんかとても手が出なかったが、5万円弱で新品が買えるとあって、買おうかな、と思う。アナログレコードプレーヤーもまだやってる。

なんでいまだにこんな化石みたいなものを作ってるんだろう、と気になって調べてみると、1970年に東証に上場して以来、上場を維持していることにまず驚く。(最近の株価100円前後!配当は2022年までゼロ。2023年から1円。)会社のホームページで沿革をみると、日本の企業の盛衰を見事にあらわしている。

1953年創業

1961年IBMの技術で磁気テープ記憶装置製造開始

1967年アメリカ、1974年ドイツに販売子会社

1974年台湾に製造子会社

1980年代カナダ、イギリス、フランスに進出

1990年~1994年マレーシア、オランダ、ベルギー、シンガポール、イタリア、スペイン、インドネシアに進出

1995年国内生産停止→香港に製造拠点→中国に移動

2000年代は世界中で事業の変更・切り売り、組織の統廃合

2013年アメリカのギターメーカー、Gibsonの子会社に。その後ファンド会社に買われる

2024年現在の筆頭株主は楽天証券(5.88%)

2008年600億あった売り上げが2024年3月決算予算では170億円。(多分最盛期の1980年代の売上は1000億円超だったろう)

Gibsonに買われて以降(2013年~2017年)5年間赤字。その後は一応黒字キープ。(当期利益:数千万円~4億)

非情に面白いのはデータレコーダー事業と称するもの。自動車、電車、飛行機、発電機その他回るものの音を記録・解析して故障の予知、解析をする技術。

医療用の映像記憶再生装置なんかもやってる。

なんとなく「どうせ一旦は死んだ会社というだから・・・」という開き直りが感じられる。また、「カセットテープ・アナログレコードの灯を消してはならない」といった虚仮の一念も。そして今まで培ってきた技術の応用でなんとか食って行こうという執念も。

しかし、ファンドに買われながらもしぶとく生き残り昔ながらの技術を基礎に商品を作り続ける・・・素晴らしいの一言。

閑話休題:

思わず株を買って応援したくなる。しかし、配当利回り1%じゃあなあ・・・・

優待の「有効期間中5回使用可能なクーポンコード」って何だろう???

カセットデッキ1台買う金で株を500株買える・・・

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