町山智弘「改憲したら俺と一緒に兵隊になろう」
2006年毎日新聞社刊「9条どうでしょう」に寄稿された 町山智弘「改憲したら俺と一緒に兵隊になろう」より:
そもそもどんな集団にも、「一人前」になるための試練がある。たとえばマサイ族のライオン狩りや南太平洋のバンジージャンプなど、親に保護されていた子供時代から引き離し、死に近い体験によって、儀礼的にいったん死んで「大人」として生まれ変わる。この一種の「通過儀礼」を経て初めて人は結婚するなど集団の一員としての資格を得る。近代以前は欧米では村や教会で徒弟制度がそれぞれに「通過儀礼」を行っていたが、国民国家では学校や軍隊がそれを代行した。戦後社会では就職がそれを補った。だから髪を切り、背広という軍服を着る。「リクルート」とは本来、「新兵徴収」という意味だ。
人は放って置いたら大人になるわけではない。子供時代と決定的に切断する儀式を体験する必要がある。学校も会社も「通過儀礼」の意義を忘れた日本で、ニートやひきこもりが増えるのは当然である。
≪そうか、俺が大学の入学式ならまだしも、会社の入社式に親が出るのに大きな違和感を感じていたのは、「親離れしようという通過儀礼にどうして親がでてくるんだ」ということだったんだ。今の日本では大人にしようと事改めて何かをしない。「放っておけば大人になる」だ。俺たちの世代では、会社に入ったら有無を言わさず会社の飲み会運動会その他の行事を強制され、職場ではマニュアルなしの教育=徒弟制度だったが、これも「通過儀礼」だったんだ。通過儀礼はそれに耐えれば会社を辞めにくくする効果はあった。通過儀礼に耐えられないような奴は一人前に扱われないのは当然だし、たまには耐えかねて死ぬ奴も出るが、そんな奴は不運か、馬鹿だ。≫
≪町山によると2006年当時アメリカでは右も左も白人も黒人も「アメリカは駄目だ」とは言わなかったそう。みんな星条旗振って「アメリカ万歳」だったと。それは自由と平等を歌った憲法があるから、だと。さて、オバマ、トランプ登場後もそうだったのか?オバマが大統領になり、その反動でトランプが大統領になっても、まだアメリカ人は「アメリカ万歳」だったのか?そうであれば、トランプが"Make America great again"なんていう必要はなかったんじゃないか??? ≫
コメント
コメントを投稿