上岡龍太郎・立川談志の対談より
上岡龍太郎が引退する前だから1990年代末だと思うが、談志師匠とフジTVで対談していた。それをYouTubeで見た。二人は
市川歌右衛門、エルビス・プレスリー、石原裕次郎、栃錦、藤村富美男、
チャップリン、力道山、美空ひばり、ニール・セダカ、(ヒトラー、東条英機)・・・
などと自分が憧れ、愛し、影響を受けた人達の名前を上げ、こんな時代に生まれて幸せだった、と言う。
加えて、上岡は「こういう人たちはほとんどあの世に行ってしまった。この世に残った人で面白いのは談志、米朝だけ。あの世の方が面白い。」と言う。
談志は65歳になったら死ぬ準備(今で言う”終活”)を始める、と言う。肉体から(”もうやめろ”という)サインが出て来たから・・・
これに対し、龍太郎は「サインが出てから4倍はもつそうですよ」と言う。
閑話休題:
①さて、俺も、憧れ・愛した人、真似しよう、巡り合えてよかったと思う人の名前を思いつくまま列挙してみよう:
チャプリン、美空ひばり、向田邦子、塩野七生、西部邁、色川武大、山本七平、山本夏彦、志ん生、コナン・ドイル、フレッド・アステア、デューク・エリントン、アール・ハインズ、ルイ・アームストロング、カウント・ベイシー、ビリー・ワイルダー、レスター・ヤング、ジョニー・ホッジス、バーニー・ビガード、チャーリー・パーカー、アート・ペッパー、バリー・ガルブレイス、ジョー・マーサラそして会社で巡り合った数少ない尊敬できる先輩後輩、最後に上さん・・・まだ死んでないのは塩野七生さん、会社の先輩後輩の一部、上さんだけか・・・
二人とも「もう満腹」「これ以上生きてても今まで以上の幸せは感じない」と言いたかったのか?
龍太郎さんいわく「裕次郎、プレスリーなんてあんなに太る前に死ねばよかったし、自分の中では太った時には死んでた。」と
また、引退したら①妻②ゴルフ③マラソン 三昧をするんだ、と。
談志師匠が龍太郎さんと、ひばりを語った別の番組で西部邁さんの言葉を紹介・・・「死んだっていい。わずかでも他人に影響を残せば・・・」また、「これから他人に影響を与えることができるのは、いい”死に様”を見せることだけだ」とも。
②最後の龍太郎の」「4倍もつ」発言は秀逸。芸を感じる。「そんなこと言わないで」「まだお若い」などという陳腐な励ましは言わない。へそ曲がりの談志にへそ曲がりの龍太郎が贈る励ましの言葉だ。言われた談志もまんざらではない顔をしていた。(あるいは龍太郎の芸に感心していたようにも見えた)
③フジTVって20世紀までは面白かった。今思い返せば、「やることなすこと面白かった」ように感じる。それが21世紀全く逆に「やることなすことつまらなく」なった。ホリエモンに買われそうになってからおかしくなったのか?それとも上岡龍太郎が21世紀には引退すると言ったのと同じ理由でダメになったのか?俺は龍太郎さんが引退したのは、①ポリティカルコレクトネスだとかコンプライアンス、ハラスメントなどを言い訳にした自主規制があって「昭和の芸人は通用しない」というあきらめ、②芸人にはお行儀よくすることを求め、また一方で、何を報道すべきかを見失ってしまったTVへの絶望・怒り が大きな理由だと思っている。21世紀になって、フジTVは①②への対処に失敗した(あるいは、敢えてうまくやろうとしなかった)のではないか?
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