「男と女」 を見る

 1966年のフランス映画。格好いい。男の子がいる男(父親)と女の子がいる女(母親)が子供を預けている寄宿舎で知り合って、という筋書き。二人がそれぞれ子供と遊ぶ場面から入る。しゃれてる。

有名な「男と女」がオルガンで流れるのも格好いい。

互いに配偶者を失っていて、配偶者を失った経緯を明かし合う。

女の横顔は見ようによっては京唄子に見えなくもない。鼻の線が似てる。きれいではないが、声や話し方が色っぽい。”アンニュイ”という言い方がピッタリか。

二人ともよく喫煙する。

男はカーレーサー。なぜか、フォードの車に乗っている。ひとしきり爆音を上げて車が疾走するシーンが続く。SDGsじゃあないね。

男が職業を聞かれ、「風変わりで儲かる仕事」と言ってジゴロだ、と冗談を言う。男が娼婦と思しき女から金を巻き上げるシーン、気が利いてる。

男の子が語る消防士になったら、という話も面白い。アドリブではないか?男が本当に面白そうに笑う。男の子、レストランで男に言われてスペイン語や英語でボーイにコカ・コーラやトマトを注文する。

女の家まで迎えに行った男、車を降りて女のためにドアを開ける。日本人がこれをやったらキザだ。不思議な感じ。

女の回想シーン。旦那の髪を洗う。バックにはサンバ(ボサノヴァ?)が。これもいい。

子供たちを連れて海に行く。船に乗って風が強いので、子供たちを二人一緒に一枚の毛布でくるむ。かわいい子供の顔が毛布から二つ並んで見える・・・気が利いてる。浜辺で子供たちが遊んでいる間にジャコメッティーのことを話す・・・この映画を若い時に見て、ジャコメッティのことも知らなかったが、「俺もいつか、このシーンみたいに、女と浜辺でジャコメッティーについて語り合ったら格好いいな」、と思った。このジャコメッティを語るシーンが一番印象深かった。

男の手のアップ。女を求め触ろうとしているかのようだ。そして車の中でとうとう男の手が女の手を握る。女から「奥さんは?」と聞かれると、いきなりル・マン24時間耐久レースの回想シーン。レーサーたちが車に向かって一斉に走って行くところからレースは始まる。男は事故を起こして病院へ。もともとレーサーは危ないから辞めてくれ、と言っていた奥さんは病院に駆けつけて男が重体だ、と聞かされ、気が狂って自殺したのだ。

男はモンテカルロのレースで勝つ。女はモンテカルロに「愛してる」と電報を。男は車で女のいるパリに取って返す。車の中で電気カミソリで髭を剃る。こんなシーン必要か?女は子供たちを連れて、いつか行った海岸に。そこで再開するシーンもいい。二人は子供たちを寄宿舎に送り届け、ホテルに行ってレストランでステーキを注文。ボーイが「他にご注文は?」と聞くが男はそっけなく「ノン」と。女に「他に何か頼まなくっちゃ悪いわ」と言われ、男はボーイを呼んで「注文だ。部屋を一部屋」と。

ベッドで男に愛されながら、女は死んだ夫のことを思い出す。女の様子がおかしいのに気づく男。女は「夫はまだ私の中で生きている」、と言う。気まずくなって女は汽車で帰ることに。男は車でパリ駅に先回りして、降りて来た女を出迎え、二人は抱き合う・・・ここで映画は終わる。不思議なことに、「これから先二人はどうなるんだろう?」と思わせない映画だ。

映画が作られた時、俺は12歳。何を考えていたんだろうか?日本にこんな格好いい大人の男女はいただろうか?フランスは豊かだった。


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