象徴天皇制、根源から問い直す議論を 主権者への原武史さんの訴え

 朝日新聞デジタルに以下:

日本国と国民統合の象徴とされる天皇の代替わりから、間もなく5年。皇族が減り、皇位継承問題が再び議論となるなか、近代天皇制を研究してきた政治学者の原武史さんは「象徴」の意味を問い直すよう訴えてきた。メディアでの発言も多いが、当人いわく、その内容はおおかた無難に編集されてしまうという。ならば、自粛も禁忌(タブー)もなしで論じてもらおう。(聞き手・石川智也)

(前略)「代替わりとは、生身の人間が交代するということです。先代のまねをしたところで、受け手の捉え方は変わります。明治、大正、昭和の天皇も、大正のように失敗した例もありますが、前代のスタイルを事実上否定し、新たな流儀を築こうとしました。明仁上皇も、良くも悪くもカリスマ性を備え戦争責任の問題を帯び続けた昭和天皇のイメージを払拭(ふっしょく)するため、保守派から『何もひざまずく必要はない。被災者と同じ目線である必要もない』と批判されながら『平成流』を貫きました」

(略)

いわば上皇夫妻は、象徴天皇制のハードルを上げてしまった。その水準から言えば、徳仁天皇雅子皇后はクリアできていないでしょう。しかし今のところ、国民から天皇と皇后への批判や苦言はほとんど出ていない。これは意外でした

(略)

 「どう存続させるか、ではなく、そこまでして象徴天皇制を維持する必要性があるのか議論すべき段階です。血の純粋性をよりどころにした制度は、多様化する社会の統合や包摂を担うメカニズムにはなり得ず、逆に排除の論理になりかねません」

 「むしろ右派が逆説的に存廃の話をしているのに、左派リベラルは存続が前提の議論ばかりしています。平成流を過度に理想化し、上皇を戦後民主主義の擁護者かのように仰いでいるのも主に左派です。改憲派に対する防波堤的機能を期待する声すらあります。しかし、その時々の政治の否定勢力が天皇とつながろうとするのは、2・26事件を起こした青年将校が抱いた理想に近い。筋違いも甚だしい」

(略)

「天皇の地位は主権者である国民の総意に基づく、と憲法に明記されているとおり、そのあり方は私たちが論じて決めていくものです。にもかかわらず、メディアはそのための自由な言論の場になっていない。第一、あの特別な敬称や敬語は何ですか。47年に報道各社が宮内府(当時)と、普通のことばの範囲内で最上の言葉を使うと取り決めたものを、80年近く続けている。上皇退位につながった『おことば』も、第2の人間宣言のように称賛されましたが、国政に権能を有しない天皇が政府や国会を通さず11分間も国民に直接語りかけ、政治が動き立法がなされるというのは、権威どころか、権力の発露です。しかし、それを問う声は主要メディアにはほとんど登場しない

 「新聞もテレビも、皇位継承や政教分離の問題を扱うことはあっても、根源的な問題には踏み込まない。これでは天皇のあり方を決めるべき国民の中に冷静な議論は育たず、タブーはいつまでも残ったままです。ジャーナリズムは本来の責任を果たすべきです」

《原さん、憲法の最初第1条に定めがあるくらい重要な天皇についてみんな関心がない事に腹を立てている。それも猛烈に。それで敢えて天皇ったって生身の人間じゃねえか「代替わり」でいいじゃねえか、神様扱いするんじゃねえ、と力が入る。特別な敬称や敬語である「今上天皇」「雅子妃殿下」を使わずに敢えて徳仁天皇と呼び、雅子皇后と呼ぶ。(呼び捨てに近い)

ジャーナリズムに対しても「根源的な問題には踏み込まない」とお冠。左派リベラルも「天皇存続前提」はおかしい、憲法に天皇をどうするのか国民が決めろ、と書いてあるのに…とやっつける・・・これは朝日新聞批判・否定論でもあるが、それを朝日新聞がそのまま記事にするところが気持ちいい。》

象徴天皇は憲法1条だが、原さんが怒る諸点は、憲法9条の戦争放棄も全く同じ。戦争放棄なんて誰も興味がない。平和ボケだ。左派リベラルは護憲に凝り固まって、国防なんて語らない。タブーだ。ジャーナリズムも自衛隊違憲論を正面から取り上げようとはしない。同様に、天皇の憲法違反は問われない。

そして俺は「日本人に根源的な問題に踏み込むなんてできないさ」と諦めている。自分でどうこうしようじゃなく、お天道様(アメリカ様?)に決めてもらう。それが日本教だ。

血の純粋性をよりどころにした制度は、多様化する社会の統合や包摂を担うメカニズムにはなり得ず、逆に排除の論理になりかねません・・・はその通りだが、俺は保守反動だから、多様性なんてやめとけ、無理だ、と考える。日本人は多様性なんて排除して「血の純粋性」というフィクションを後生大事にするのでいいじゃあねえか、と思う。それが「日本教」だ。


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