カスピ海と黒海の間の国々

 BS NHKで加藤登紀子が「百万本のバラ」という歌をジョージア(グルジア)に歌いに行く、という番組を見る。加藤登紀子の姿や歌より、2008年北京オリンピックの最中にロシアとジョージアの間に武力闘争があったことを知って驚いた。調べると、ジョージアからの独立を目指していた南オセチアにジョージア軍が攻め入ったら、駐留していたロシア軍に返り討ちにされ、結局、ロシアによって北部の2州がアブハジア、南オセチアという国として独立が認められた…という事件。ロシアとジョージアの間にも紛争が絶えなかったことを知った。ウクライナ、ジョージア、チェチェン…ロシアの黒海・カスピ海周辺地域への執着というか、おぞましいほどの侵略性だ。それにしても、旧ソ連の国々はオリンピックの最中に戦争するのが好きだ。ロシアのウクライナ侵攻は、2014年のソチオリンピックの最中と2022年北京オリンピックの終わった翌日に行われた。

Wikipedia記載のカスピ海と黒海の間の地図を以下。

よく耳にするチェチェンもこの地域にあることを知る。

地図にあるグルジア(ジョージア)、アゼルバイジャン、アルメニアは1991年にソ連崩壊と同時に独立した。

以下、Wikipediaより(抄録):

ジョージア(グルジア):

約90%がグルジア民族。ジョージア正教徒75%。グルジア民主共和国だったが、ロシア革命の後、1921年にソ連に併合され、1991年再独立したが、クーデター、独裁政治、不正選挙と言った、ロシアと酷似した政治状況が続く。1997年、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバと共に、ロシアからの独立を守るGUAMを設立。南オセチア紛争の背景は、元々、イラン系のオセチア人が独立を求めていたのをジョージアが押さえ付けようとしたことによる。上述の2008年の南オセチア紛争を受け、それまでグルジアと言っていたロシア語読みの国名をジョージアに変更するように主張。(日本も2015年変更)ロシアと決定的に不仲か、というと、ロシアと近いオリガルヒが政府のスポンサーなので、2022年のウクライナ戦争以降もジョージアはロシア制裁に加わらず、ロシアから逃げ出す人々をビザなしで受け入れている。ロシアを見習って独裁政治(多分汚職まみれ)で、ロシアと仲良くなったり、悪くなったりしている。この点、ウクライナに似ている。ソ連崩壊のどさくさ紛れに独立はしてみたものの、政治的にも経済的にも未成熟で、資本主義や民主主義を教えてくれるいい先生に恵まれず、紛争やテロを繰り返している。このことは、ロシア自身にも当てはまる。1990年代、混乱に陥った旧ソ連の国々に先生として乗り込んだ民主党・クリントン大統領時代のアメリカは、ロシアやウクライナを食い物にした。(この時、バイデンの息子がウクライナで不正蓄財した、と言われる)グルジアをジョージアに呼び変えたことは知っていたが、ロシアとの紛争が理由だとは知らなかった。

アゼルバイジャン:

90%がトルコと同じテュルク系民族。97%がイスラム教徒。19世紀にロシア帝国に編入され、ソ連の一部となったが、1991年ソ連崩壊と同時に独立。以来、共産党による一党独裁が続いていている。1997年、ウクライナ、ジョージア、モルドバと共に、ロシアからの独立を守るGUAMを設立。ナゴルノ・カラバフ地方ではアルメニア人の人口が多く、同地域のアルメニアへの帰属変更を掲げたが、2023年9月19日、トルコ、イスラエルに支援されたアゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフ地方へ攻勢をかけ、24時間後にアルメニア人の自称国家「アルツァフ共和国」(ナゴルノ・カラバフ共和国)を事実上降伏させた…ソ連時代に作られた共和国の「区割」と人種・民族との間にギャップがあったが、そのまま共和国単位で独立したので、ウクライナにしろジョージアにしろ、アゼルバイジャンにしろ、マイナーな人種・民族が独立を求め、ロシアが介入する…これが旧ソ連に属していた国の抱える問題の根元にある。しかし、ウクライナ戦争やコロナに気を取られて、2023年にアゼルバイジャンでこんなことが起きていたなんて全く知らなかった。

アルメニア:

98%がアルメニア人。大部分がアルメニア使徒教会信者。オスマン、ペルシャ、ロシアなどに支配されてきたが、1920年、ソ連に編入。1991年ソ連崩壊とともに独立。
2008年に行われた大統領選挙でセルジ・サルキャン新大統領が誕生したが、対立候補であった元大統領陣営はこの結果に異議を唱え、大規模な抗議活動が発生したがサルキシャンは大統領に就任。その後、任期中の2015年に大統領権限の大半を首相に移し、議院内閣制を導入する改憲を成立させ、2018年4月、大統領退任に伴い首相に鞍替えしたことから、長期政権や汚職疑惑に野党や一部の国民が反発し、大規模な抗議活動へと発展した。これを受けてサルキシャンは辞任を表明、5月に首相選出選挙が行われたが、最大野党のニコル・パシニャン党首しか出馬しなかったことを理由に与党は反対し、新首相の選出は否決された。この結果を受けたパシニャン支持派が首都のエレバンで大規模な抗議活動やゼネラル・ストライキが起こり、12月に総選挙が実施されパシニャン首相が率いる改革派が勝利した…これもロシアでプーチンが大統領になったり首相になったりしたのと似ている。ただ、ロシアと大きく違うのは、大統領なり首相が変るということだ。言い方を変えればプーチンは大統領に居座って強権を発動し続けなければ殺される…だろう。アルメニアはアゼルバイジャンと仲が悪い。そのアゼルバイジャンはロシアと敵対している。従ってロシアとアルメニアは仲が悪くない。

閑話休題:
加藤登紀子の番組で、九十歳を超えた女性映画監督が、日本の金継を絶賛していた。彼女に言わせると瀬戸物は過去を象徴しており、日本にはその過去を再びつなぎ合わせる金継という技術がある、過去はバラバラのままに放っておくべきものではないし、バラバラだからと言って捨て去るべきものでもない…これは確かに日本人の良さだと、気づかされた。逆に言えば、日本人は過去を忘れて未来や前に向かって進むのが苦手で、既成事実や先祖、死んだ人に引きずられる、ということだが。ただ、ロシアみたいなおぞましい国に侵略される恐怖に常にさらされている人たちにとって、そのおぞましい歴史をなんとか受け入れるには、「金継」が必要なのではないか?言い換えれば、ロシアを恨んだり憎んだりするだけではなく、おぞましい侵攻を繰り返さざるを得ないのはロシアの病気であり、その病気の原因を知らなくてはならない、という事だろう。おぞましい敵を叩き潰す、やっつけるというキリスト教的な反応では争いは終わらない、ということだろう。
日本は、アメリカという「いい」先生に恵まれ、在日や沖縄やアイヌなんていうマイノリティ民族の独立問題も顕在化せず、内戦も起こらず、幸せ?だ。「なんちゃって」だけど資本主義も民主主義も一応機能している。あまりに恵まれすぎて、自分の頭で考えるのも忘れてしまった。

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