映画「いちご白書」
「いちご白書をもう一度」で歌われていたから、こういうタイトルの映画があることは知っていた。まず、興味深かったのはMGM製作ということ。MGMと言ったら、ミュージカル映画しか思い浮かばない(ミュージカル映画好きの俺にはそれだけで十分存在意義はあるが・・・)つまり、MGMって古き良きハリウッド、保守的、体制派で、学生運動を描いた映画なんて絶対作らないと・・・Wikiってみると、MGMらしい映画はもう、1960年代には作っていなかったみたいだ・・・ただし、1970年代に昔のミュージカル映画の名作をつぎはぎして紹介するThat's entertainmentという映画は作った・・・今はAmazonに買われて俺の知っているMGMとは別物の存在になった。
この映画が公開されたのが1970年で、内容は1960年代後半のアメリカの学生運動(の挫折)を描いたもの。「サークル・ゲーム」という歌が独特の声で歌われる。俺もこの歌を高校時代に聞いた。当時は歌詞の意味も分からず聞いていたが、今改めて歌詞の意味を噛みしめてみると、ボブディランの「風に吹かれて」同様の歌詞。輪廻とか無常観とか、そういう非アメリカ、非キリスト教的な歌詞・・・これも当時アメリカで流行っていたし、そのアメリカの流行が日本にも伝わって来ていた。
そしてジョンレノンのGive peace a chance(平和を我らに)。
俺は1972年に大学に入ったが、すでに学生運動は挫折して峠を越していた。1972年の2月、つまり、大学受験の真っ最中に「あさま山荘事件」という事件があった。これは、学生運動が行き詰って警察に追われ、山の中を逃げ回るうち、仲間同士で殺し合い、最後は山荘に人質を取って立てこもって、包囲した警察と撃ち合いをするという凄惨な事件だった。学生運動は、俺にとってはオワコン、人様に迷惑をかける空騒ぎだった。だから本当の所・内実は良く知らない。日本を含む世界中のの学生が1960年代後半に荒れた、というか学生運動が盛り上がったことだけは知っている。この映画で描かれるアメリカの学生運動は日本のそれとそっくりだ。(ただし、アメリカの場合は黒人の公民権運動の支持も含まれていた)
俺の知ってる1970年代前半の「反体制」て、大人しい反体制、あるいは、人に迷惑をかけない反体制だった。人畜無害、ファッションだった。
主人公は20歳のボート部の学生だが、俺の20歳の頃とダブる。懐かしい。しかし俺とは違って、ガチガチの保守のはずの”体育会”ボート部員が何故か学生運動にはまる。恋人役の女の子、決して美人ではないが、かわいらしい。チャーミングと言うべきか。
部屋に飾られた毛沢東やチェゲバラの写真。そしてドラッグとフリーセックス。革命も反体制も成らなかった。俺は学生運動には賛同しないが、一方でこんな嘘やフィクションで固まった体制はそろそろひっくり返えらないといけないし、そのために微力を捧げたいとは思う。
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