斎藤隆介「職人衆昔ばなし」②年季奉公契約
確か田丸恵三郎という畳職人が本書で言っていたと記憶するが、
子どもを年季奉公に出す親または親代わりに身元保証する人が年季奉公をさせてくれる側に出す「職業見習身元保証書」の記載:
「年季契約を以って差し出し候については貴殿ご家風は申すに及ばず、お指図堅く相守らせ可申候(もうすべくそうろう)」・・・年季奉公に出すに当たり奉公人には、そちら(年季奉公をさせてくれる側)の家風に従わせるのは言うに及ばず、指図を堅く守らせます。
「一つ、年季中貴殿の承認なく本人が見儘に出奔し候か、又は当方の都合上、御暇請候節には、最初よりその当時までの食費を倍賞金として弁金可致候(いたすべくそうろう)」・・・(5年とか10年の)年季が明けるまでに、そちらの承認なく奉公人が自己都合や身勝手でやめる場合、それまでの食費を賠償します。
明治時代は(多分戦前は)年季奉公とは奉公する側がお願いして”小僧”から一人前の職人に鍛え上げてもらうシステムだったのだ。
本書のあとがきにあった「労働基準法だのミンシュシュギだの言ってたんじゃ仕事が半チクになっちまわア」をもじって言えば「コンプライアンスだのハラスメントだの言ってた日にゃあ、仕事が半チクになっちまわア」・・・俺はかなり真面目にそう思っている。
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