人種ってどうやって決めるの?

 アメリカ、ハーバード大学の入学試験で黒人やヒスパニックに”下駄をはかせる”(=成績が悪くても合格とする)措置が取られている。いわゆるアファーマティブアクションだ。アファーマティブアクションについては、俺にもアメリカで若干実体験がある。30年以上前の事だが、アメリカの俺の勤めていた会社のあった州(?)では法律で黒人のマネージャーの人数比率が定められており、やむなく「出来の悪い」黒人をマネージャーに採用した。数年後、やっぱり出来が悪いのでそれを理由に解雇したら、首になった黒人から「人種差別だ」と訴えられた、という事件だ。

ハーバード大学が「黒人やヒスパニックに下駄をはかせ、成績の良いアジア系が不合格になるのは差別だ」と訴えられ、近日中に最高裁の判断が下されるらしいが、保守派の多い今のアメリカ最高裁ではアファーマティブアクションは評判が悪いらしく、ハーバード大学側が負けるのではないか?とニュースは伝える。

俺に素朴な疑問が湧いた。「そもそもアメリカにおいて人種ってどうやって決めるの?」だ。30年前のアメリカでは会社の採用面接で宗教や人種や性別を聞くことは禁じられていた。それが差別の元凶であり差別を助長する、という考え方だ。今でもそれが続いていると思うから、ハーバードはどうやって受験者の人種情報を入手し、人種を識別するのか?という疑問だ。本人に自己申告させてそれを信用するのか?写真を提出させ「見た目」で推測するのか?そもそも人種情報を入手しようとすることは違法のはずだが入試やアファーマティブアクションのためなら許されるのか?

早速Wikiってみる。「アメリカ合衆国の人種構成と使用言語」によれば、人種の識別は結局は自己申告による。オバマだって国勢調査の意図に反して、白人の血が交じっているのに「黒人」と自己申告したとしている。一方で、少しでも黒人的特徴があれば黒人と見なされる、とも。黒人の血が混じっているのに見た目は全く白人で、白人を装っていたり自分は白人だと信じている人の苦悩を描いた映画もあった。

人種差別と言えばアメリカで最大の問題だが、どうやらその人がどの人種に属しているのか?の判断の大元は自己申告なのだ。自己申告に加え、見た目だ。全くアメリカ人らしくない。アングロサクソンやユダヤなら「エビデンス」って言うと思うんだけど・・・タブーがあって詮索しにくいんだろう。それなのに(それゆえに)人種は大きな問題のタネになる。

以下Wikiより抜粋:

国勢調査の内容[編集]


2010年の国勢調査票-人種記入欄:
5. ヒスパニック可否
6. 人種
白人、黒人、アメリカ先住民(以上人種)、インド人、中国人、フィリピン人、日本人、韓国人、ベトナム人など(民族、出自国)

人種・民族構成の集計を理解する上で国勢調査の調査内容を把握する必要がある。集計では混血の比率が2.9%と報告されているが、これは集計上の見かけの数値でしかない。以下どういう経緯でこの数字が出てきたのか説明をする。

まず米国国勢調査局の調査票における人種(race)の選択項目では、人類学文化人類学での人種の定義を適用しておらず、人種(race)と民族(ethnicity)・出自(Ancestry)をいくつか併記しており、その他へは記述欄をもうけている(右の画像を参照)。2000年からは複数選択可となったが、それ以前は1つのみであった。

人種に関する選択項目[編集]

白人、黒人、アメリカ先住民(以上大まかな人種)、インド人、中国人、フィリピン人、日本人、韓国人、ベトナム人など(民族、出自国)

次に人種や民族の判断は住民に任されているが、自身の血統をどこまで把握しているかは明確ではない。記述も実質的に任意である。国勢調査の内容は人口統計作成以外には使われないと定められており、国勢調査票の提出は住民の義務であり、未提出や虚偽の報告については罰金も定められている。しかしながらプライバシーとの絡みもあり罰則規定が厳密に運用されているわけではない。Long Form(後述)の質問内容は学歴、収入、家の作り、水洗か、冷蔵庫の有無、健康状態などと多岐に渡るため[19]、賛否、様々な議論が上がっており[20]、記入を躊躇したり、面倒に思う住民はいる。

以上をまとめると、調査票の人種の分類が不正確、人種の判断は本人任せで、記述および提出は実質任意である。

オバマ大統領は2010年の調査票には黒人のみを選択した[21]。本来であれば、母方の白人も選択するべきであるが、虚偽の申告をしたとして訴追されたとか罰金を払ったという報道は見かけない。このことからも分かるように、本人がどういう帰属意識を持っているかの集計であり、科学的ではないが、社会的にはより重要な集計である。オバマは白人と黒人の混血であるが、米国においては初めての黒人大統領と表現されている。これには20世紀まで適応された一滴でも黒人の血が混ざれば黒人であるという「一滴ルール((英)one-drop rule)」や2000年までは国勢調査の人種選択は1項目のみで複数の選択は許されなかったなどの事情が絡んでいる。現在でも米国では少しでも黒人的特徴があれば黒人と見なされる。

人種構成[編集]

ここで記述する人種・民族の定義は人類学や文化人類学上の定義ではなく政治的定義であり、国勢調査も学術調査のような科学的分析資料ではないことに留意が必要である。

国勢調査における人種の定義[編集]

人種に関しては、混血・移民の歴史やさらに遡れば民族移動などの影響もある上に、米国においては人種差別に非常に敏感であるため国勢調査では人種に関しては、柔軟な対応をしている。一応ガイドラインを示してはいるが、厳密な集計上の運営をしているわけではなく、国勢調査表[23] への回答者の認識を尊重している。国勢調査局では統計上の誤差も報告しているが、記述を簡素化するため現時点では以下の表では割愛している。

人種の定義[24]

白人White
出自がヨーロッパ、中東、北アフリカである。または本人が白人と申請した場合(以下同)。
黒人アフリカ系アメリカ人Black or African American
出自がアフリカの黒人。
アメリカインディアンおよびアラスカ先住民American Indian or Alaska Native
出自が北米、中米、南米の先住民で、なおかつそれらの文化伝統を保っているもの。
アジア系Asian
出自が東アジア東南アジアインド亜大陸など。東西融合の地である中央アジアは記述されていない。
ハワイ先住民およびその他の太平洋諸島の住民
出自がハワイ、グアム、サモア、その他の太平洋諸島。
その他の人種
上記以外の人種。


閑話休題:

ハーバードがどうやって受験者の人種情報を入手しているのか?・・・受験の出願書類に書かせるんだと思う。大学入試には、これが許されていて、会社が採用する時には禁じられているのもおかしな話だ・・・ハーバードではないが、色の黒いインド人が黒人だ、と出願書類に記入して受験して受かったという、いかにもありそうな話もある。

俺のいたアメリカの会社で人種差別だ、と訴えた「黒人」マネージャーは本当に黒人だったのか?少なくとも見た目は100%黒人だったし、本人が「黒人に対する人種差別だ」と訴えたんだから社会的・政治的には黒人だったが・・・見た目黒人だが実は白人というのはないのか?会社は採用後、人種情報を出させるのか?黒人だと信じて採用したらインド人だった、なんて場合は会社の怠慢とはならないのか?

2010年の国勢調査票ではヒスパニックは人種ではないとしている。「中南米の先住民」つまりアメリカインディアンとするのが国勢調査的には正しくて、「ヒスパニックに対する人種差別」という言い方は正しくない。

ユダヤ人はWhiteか?上掲の国勢調査票には「ユダヤ」という人種はない。

しからば俺の人種識別根拠は何か?外見だ。肌の色、顔のパーツなどなど。それから言動。いずれも科学的なものではない。しかし、見た目で「こいつは○○人だ」と決めつけ「○○人はこれだから困る」なんていう言葉を吐くとなんだかすっとする。これを陰でこっそりやるのは快感だ。

人種って面白い。底なし沼だ。アカデミックにはDNAか何かで特定できるんだろうけど、そんなことはお構いなしに社会的、政治的には本人の自己申告と見た目で決まり、それが大きな社会的、政治的問題のタネとなる。

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