人生100年・犯罪の高年齢化
何十年も前、「犯罪の低年齢化・若年化」と言われた。大人がしていた犯罪行為を10代の子供がやるようになった、と。今は、犯罪が高年齢化している。つまり、昔なら元気がなくなって大人しくなっていた年寄が元気になって犯罪行為をしているということ。
たとえば千葉県長生村の村議会議長(77歳)が宴会で飲食店を2軒”はしご”した後、乗っていた車の運転手に暴行した、と。77歳で飲食店をはしごしようという体力・気力にはあきれる、というか敬服する。その上、女性とはいえ、運転手に暴行を加えようというのだから物凄い。
それからジャニーさんの性加害事件。”被害者”の言う事を信用すれば、ジャニーさんは80歳以上になっても”性加害”していたようだ。具体的にどんな性行為が行われたのかは分からないし、多分確かなことは、ずっと明らかにならないのだろうが、その年でなんらかの性行為をした、それも強要したというのだがら物凄い体力・気力(その他の力?)だ。
ギリシャの昔から、「最近の若者は・・・」という年寄の嘆きがあった、と言うが、「最近の年寄りは・・・」だ。大声を上げて怒鳴るじじい、横断歩道でない道路をゆっくりかつ堂々と横断するばばあ、など若い世代には見られない(年寄ならでは?の)マナー違反あるいはほとんど犯罪行為と言ってもよい行為も増えている。
吉川幸次郎によれば、文学者では漱石(生年1867年、以下、()内生年)、鷗外(1862年)まで、軍人では山県(1838年)、乃木(1849年)まで、政治家では西園寺公望(1849年)、原敬(1856年)までは武士道と儒教の教育を倫理的背景としていたから、一応信用できたが、その後生まれた者は信用できない、というようなことを書いている。明治になって武士道が廃れ、儒教も天皇を君主にしたのがいけなかった、ということか?また、明治維新を生身で感じたかどうかも大きかったように思う。大東亜戦争に突っ走っていった松岡洋右1880年、東条英機は1884年、大川周明は1886年、近衛文麿1891年生まれ。1868年生まれの鈴木貫太郎はギリギリセーフか?
吉川幸次郎さんは、日露戦争前後、つまり1900年を境にそれより後に生まれた日本人は更に落ちると。何故なら明治の末・・・1910年頃・・・に真の儒教教育がなくなったからと。(1904年生まれの吉川幸次郎自身もダメになった教育を受けた口)511事件や226事件を起こした若手将校は1900年以降に生まれ、軍縮やシベリア出兵の失敗で軍人が馬鹿にされ始め、軍人のなり手が激減した1920年以降軍人になった。面白いことに志ん生、文楽、円生はそれぞれ1890年、1892年、1900年の生まれ。この辺の落語家たちが戦後生き残って1950~60年代に名人と呼ばれ、落語は全盛期を迎えた。
その次の大きな境目はやはり大東亜戦争だろう。軍国教育を受けなかった戦後生まれは教養とか倫理とかいう面では更に更に落ちた、と言うべきだろう。1901年生まれの岡潔によれば、戦後の教育は誤った個人主義だ、と。軍国教育は問題は多かったが、国の将来・子孫のために犠牲になる(死ぬ)人間を作ったのはよかった、と。岡潔の言う「誤った個人主義」教育を受けた最初の世代・・・1940年生まれ・・・が今、83歳。確かにお国のために命を差し出すような者はいないように見える。
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