なぜ若者は会社を辞める?(ちょっとスッキリ)

 俺は20156月監査役になったが、その年の10月に若者雇用促進法なる法律が施行されていた。参ったね。監査役業界ではこの法律、全くスルーだった。というのは違反しても大問題になるリスクがほとんどないから。ぬかっていた。若者雇用促進法は若者が就職しようとした時「定量的に」会社を評価できるようにしたり、その他若者に寄り添った法律。就職のみならず、転職の時、在籍中の会社と転職先の比較などもやりやすく。いわば転職促進法。(この法律を作った厚労省の役人は雇用流動化を狙ったのかも知れないが)

この法律はその後のコロナ禍で余計なことを考えるゆとりをもたらしたリモートワークと相まって若者の離職転職を増やし日本の会社の管理職を悩ませている…まあ、悪法だネ。何が悪法かって会社法と同じ。「会社は株主のもの」と思っていない日本人には会社法は腹落ちしないのと同様、雇用流動性が高くなく転職が当たり前でない時代に育った日本の管理職には転職したがる若者を扱いかねる。何より若者が自分勝手な評価で会社や仕事を変えるだけで若手自身のスキルや能力、そして会社の競争力には何のプラスもない。むしろ転職にかかるエネルギー分、不効率。なんでこうなるのか?政治家・役人が馬鹿だから。雇用流動性を高めたいならまず、雇用流動性を高めるべきか議論をし、高めるべしとなれば、そういう主旨の法律を作るなり政策を実行すればよい。何回も言うけれど、今の政治家・役人が馬鹿なのは彼らの責任じゃない。賢い人が政治家・役人を目指さないから。マスコミや野党の皆さん、政治家や役人を皆さんの批判の対象としてふさわしい立派な存在にするために、当分、非難や批判は避けて褒めてやってください。そうすれば、もう少し気の利いた頭の良い若者が役人や政治家になるでしょう。(皆さんのお子さんを役人や政治家にしたい、と思えるくらいの憧れの職業にしましょうや)

この法律の対象外の若くない人(1980年より前に生まれた人)は会社を定量的に評価するなんて及びもつかなかった。

ただし、若くない会社員も若者雇用促進法にあるような手法で「定量的に」評価し、評価されていた。

・担当職務に必要な法的、経理的、技術的…その他 知見

・語学力(TOEIC

・コミュニケーション能力…などなどの

評価項目を並べ立て、例えば5点満点で点数をつけて合計の絶対値で評価する。

これを定期的に見直して上司と部下が評価を巡って面談する。

この絶対値がその時点の、その人の評価。それだけではなく、昨日より今日、今日より明日…と点数を上げることが「育成」。  

若者雇用促進法対象の若者(1980年以降生まれ)に関する俺の仮説・妄想:

    若者は親、配偶者、会社、職場、仕事・・・などを細かく評価項目に分けて各項目に点数をつける。例えば、親・配偶者なら資産や収入や社会的地位で点数をつけ、会社なら規模、利益、風評その他若者雇用促進法で開示が義務付けられている項目で点数をつけ、職場なら会社内におけるポジション、評価で点数をつけ、仕事ならお役立ち度やコスパで点数をつけetc…これらの点数の合計がその人の人生の点数表。

    知人友人についても同様の点数つけをし、自分の点と比較して勝ち負けを決める(自分は勝ち組か?)

    絶対値のみならず、今日、今日より明日…と自分の点数を上げることがキャリアアップ。

    点数UP=キャリアアップして勝ち組にならなくては、と強迫観念を持っている。点取りゲームに夢中、と言い換えてもよい。うちの上さんのポイ活と同じ。

    点数UPするのに比較的容易なのは仕事・職場を変えること。転職もそんなにハードル高くない。仕事・職場・会社を変えると点数UPのチャンス。親はガチャ(変えようがない)だが配偶者ならエネルギーやコストを使えば変えられなくもない。

    転職や仕事を変えるのはその道一筋に比べ、リスクも大きいが点数が大きくUPするチャンス。道を究めるより点数の方が大切。そもそも道を究めようとしても点数UPに限界がある。数年間でその道の最高点に到達したら別の道(仕事)に乗り換える。その道を究めても満点が3点なら、満点5点の別の道を選ぶ。かくして道を究める努力より、満点スコアが高い道を選ぶための情報収集に夢中になる。就職して仕事の経験を積むうちにもっと点数の高い会社・仕事があることに気付くこともある。

そんな若者を笑うことも馬鹿にすることもできない。だって、彼らの親世代である自分達や団塊の世代は成果主義で点数つけや点数比べに夢中になったし、部下の評価・育成も点数をつけてやっていた。

さて、この仮説に基づいて上司は若者にどう接し、離職を防ぐか?

・若者に評価されるように媚を売るのも嫌だネ。

・若者自身のスキルや能力が上がるようにし、それを可視化、定量化する。

・会社や上司のためではなく、若者自身のため(=成長)にならないと。

・離職を防止しよう、なんて魂胆では見透かされる…若者には会社がどうなるかなんて関係

ない。

・上述の「人生の点数表」はそれほど普遍的なものではなく、個人差がある。つまり評価項目の設定や点数の配分や最高スコアなどは個人の価値観によってかなり違う。価値観が変われば点数も変わる。上司と若者の価値観が近づけば上司はそれほど振り回されずに済む。

・正解を与えられずに自分の頭を使ってあれこれ考える(できればその結果正解にたどり着く)、という経験をさせる…成長を実感させる

・離職防止は狙ってできるものではない。上司も「人生の点数表」を作り、若者にも作ってもらって比べ、すり合わせる努力をする。失敗して離職されてもがっかりしない。

以下、若者雇用促進法の説明。

人事のための情報サイト 人事バンク  より:

若者雇用促進法とは、若者の雇用促進を図り、適切な職業選択や職業能力の開発・向上に関する措置を行えるようにするための法律です。

簡単に言うと、若者の雇用促進とスキルアップを支援するための法律です。

若年の雇用に関する法律は、若年雇用促進法が施行される以前から、「勤労青少年福祉法」として存在していました。

しかし、若者を取り巻く雇用環境が変化したため、同法を改正した「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)」が公布されたのです。

 

応募者から求めがあった場合には

・募集・採用に関する状況

・職業能力の開発・向上に関する状況

・企業における雇用管理に関する状況

のいずれか一つ以上の提供を義務付けています。

・募集・採用に関する状況

過去3年間の新卒採用者数・離職者数

過去3年間の新卒採用者数の男女別人数

平均勤続年数

・職業能力の開発・向上に関する状況

研修の有無及び内容(対象者や内容を具体的に記述)

自己啓発支援の有無及び内容(教育訓練休暇制度・教育訓練短時間勤務制度がある場合、その情報も含む)

メンター制度の有無

キャリアコンサルティング制度の有無及び内容

社内検定等の制度の有無及び内容

・企業における雇用管理に関する状況

前年度の月平均所定外労働時間の実績

前年度の有給休暇の平均取得日数

前年度の育児休業取得対象者数・取得者数(男女別)

役員に占める女性の割合及び管理的地位にある者に占める女性の割合

コメント

このブログの人気の投稿

ママーのガーリックトマト(ソース)で茄子入りミートソースを作るとうまい

松重豊さんが号泣した投稿「ロックじゃねえ!」投稿者の先生への思い(朝日新聞デジタル)

長嶋追悼:広岡さん