モーリーさん怪演
NHK「新・幕末史」におけるモーリーロバートソン演じるイギリス公使パークスは非常に印象深かった。イギリス(人)は、時流を読み、それを最小限のCOSTで実現しようとした。それを可能にするために諜報活動、インテリジェンス、圧倒的な武力・経済力、相手国にもメリットがある(正しい選択だ)と説得する屁理屈、相手国にもメリットがあったと信じさせるプロパガンダが備わっていた。モーリーさんはそれを上手に厭らしく体現し、演じていた。
トッドさんは「○○人は▽▽だ」「○○教徒は▽▽だ」という差別がフランスには充満していると言うが俺は「アングロサクソンは時流を読んでそれを早く、最小限のCOSTで実現しようとする」という差別・偏見を持っている。
*ここで言うCOSTとは経済的なコストだけではなく、「犠牲、つまり戦争による被害、死者」も含む
幕末~明治維新のイギリスは、時流を読んで「徳川幕府はオワコンである」と考え、幕府に早く倒れてもらい新政府と商売するのが得策と、まず幕府・維新勢力双方に武器を供給して明治維新~戊辰戦争に至る内戦を仕掛け、明治政府優勢と見るや一転、明治政府に肩入れして明治政府を勝たせた、と言うのが「新・幕末史」の筋書。
終戦もしかり。アメリカは厭戦気分を察知し、戦争を早くCOSTミニマムで終わらせようとした。そのための選択が原爆投下であり、その後の日本占領をソ連抜きかつCOSTミニマムで乗り切る方策が天皇制温存であった。ここに正義などと言うものはない。冷徹なリアリズム・損得勘定だけ。
少なくとも日本人はこのアングロサクソンの術にはまって明治維新もアメリカによる占領も肯定的に受け止める人の方が多いようだ。逆に中東ではアングロサクソン流は反発を喰って大きな混乱を招いている。
一方でロシアや中国のように権威的とか言われる国では正義(中国流に言えば「徳」)を示すためにはいくらCOSTをかけても、という国、民族もある(ウクライナ、チベット、ウイグル、台湾を我が物と主張続けるのは決して得があるようには思えないが、彼らにとっては歴史的経緯や国防や面子から譲れない)…かつての日本もそうであったし、日本人には今でもそういう資質は残っていると思う…もしかするとアングロサクソン流のリアリズム・損得勘定に追い詰められ、それに対する反発から、かつての日独、今の中露は理想や正義や歴史などを持ち出しているのかも)こっちの方が打算的でなくて格好いいと言える。損得で動くなんて厭らしい。アメリカにもそういう人たちがいて、民主党なぞ、その代表。占領政策も民主党的な若者が日本に民主主義を教えようと理想に燃え、平和憲法などという代物を作ったりした。ベトナム戦争は民主党のケネディーが準備し、ケネディーが殺された後を継いだジョンソンが始めた。勝ち目がない、と負けを認めたのがニクソン、フォードの共和党だった。資本主義を守れ、民主主義を守れ、というご立派な考えで民主党は戦争を始めたが、戦死者、反戦運動などのCOSTを秤にかけて共和党はアングロサクソンらしく損得勘定をし、ベトナムから逃げ出した。アングロサクソンに負けないためにはこれしかない。「屈服させるにはCOSTがかかりすぎる」と思わせるだけの力がないとアングロサクソンからの独立は難しい。
日本にとって最大の問題はさて、このままアングロサクソン流に乗っかっていればいいのか?ということ。アングロサクソンもそろそろオワコンでないか?今までは正義や徳よりリアリズム・損得勘定の方がCOOLで普遍性があったが、アフリカや南米や中東では受けない。ややこしいのは国連その他の国際機関ではこういう国(俺は「〇人の国」とか「〇坊の国」と呼んでいる。別名グローバルサウス…)が一票を持っていること。トランプが国連から逃げたいと言ったのもうなずける。
閑話休題:
新・幕末史は昨年10月初回放送。「これから防衛予算増やすぞー」という政府の動きに忖度しすぎではないか?…幕末の日本のように「列強のおもちゃ」にならないためには強い軍隊が必要だ(一応「軍備は抑止力として必要であって実際には使わない」というお題目は語られていたが…)を強調。アメリカから言われて日本政府がNHKに指示したんじゃないか?と妄想。アングロサクソン流のプロパガンダ。日本が軍備増強して一番うれしいのはアメリカの兵器屋さん。それを分かって「交際費」のつもりでアメリカ様に一定の枠の中で、お金を差上げるのなら結構。真剣に同盟強化とか言い出すとアメリカ様は迷惑に思うのではないか。それとも「日本てかわいい」と思ってくれるか???アメリカはかなり冷めている、と思った方がいいのではないか?アメリカも日本を「オワコン」と思ってるのではないか?
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