俺の日本人論 第40回 俺の日本人論  おまけ >>>いい談合<<<

 俺の日本人論 おまけ 

>>>いい談合<<<

何故日本人は談合するのか?という問いが「俺の日本人論」探求のきっかけであった。その答えはすでに上述したから繰り返さない。競争嫌いで和が好きな日本人は談合をやめられない。ならば「日本人らしい、いい談合」とは何か?について以下。なお、ここで「談合」とは、工事や設備・装置の受注を巡るものに限定する。

日本ではかつては、工事は請負ではなく、「直営施工」で行われていた。直営施工とは、施主が必要な資材や労働力を自分で直接調達することである。直営施工なら入札もなく談合は発生しない。これが豊臣秀吉の頃に請負業者が現れ、請負工事の入札が始まると同時に談合あるいはダンピングが始まった、とされる。日本の公共工事においては、田中角栄(的政治家)が健在な時代までは政治家・役人と特定の業者がグルになって「天の声」を発し、受注業者を決め、言うことを聞かない業者は暴力団に脅かされ、受注金額の一部が政治家や役人に…という構図(“悪い談合“)はあったと思われる。

中国人もアメリカ人も「競争して勝ったものが独り占め」を是とする。日本人は発注者も受注者も「和・話し合い」「みんな仲良く」「持ちまわり」で競争や独り占めを嫌う。入札する者が仲間内に限られている(指名競争入札)なら輪番受注にしたり、前回施工業者優先にしたり、“たくさん汗をかいた者”に優先権を与えたり、仲間内で一番偉い(古い)者の言うことを聞いたり、「天の声」を聴いたりした…解説①前回施工業者が優先されるのは前回の経験を生かして今回工事の設計検討や施工管理が容易にできる=他社に比べアドバンテージがあり、安く早くできるんだから受注すべき、という理屈。②「たくさん汗をかく」とは、発注者側の技術者では技術レベル的にまたはマンパワー的に対応できない技術検討業務や予算作成業務の全部または一部を特定の業者が入札前にこっそり肩代わりしてあげること(当然汗をかいた者に受注の優先権がある)…輪番、前回施工、たくさんの汗、偉い人、天の声…いずれも受注者側から見れば無駄な応札(見積)作業をしなくて済むのでその点では合理的。田中角栄亡き後は、「悪い談合」より「見積もりはタダだ」とばかり無駄な入札(見積)をさせようとする発注者に対する抵抗という意味合いの談合が多いのではないか。共に生き残ろうという業者側の仲間意識もある。官製談合も本質的には官側の(自前の)技術者では不足するからやむなく、特定の業者に「汗をかかせる」ことから始まるケースが多いのではないか?(特定の業者に汗をかかせて入札しておいて、「競争しろ」は素人の言うこと。野暮。)小役人が談合を仕組んだり見逃して賄賂をもらう、という例は後を絶たないが金額的には大きなものではないように思われるし、真剣に取り組むべき問題とは思えない。巷間言われる「価格つり上げ」のための談合はほとんどないのではないか、というのが俺の印象。確かに競争がなくなるのだから、価格は一定の線より安くはならないが…これも印象論。

加えて日本人は性善説で受注者が手抜きをするとか途中で投げ出すなどということを想定して契約できない。つまり発注者は受注者の経営状況・設計・施工をあまり真剣にチェック・検査しない。従って日本では手抜きや工事の途中で投げ出されるのを防ぐにはそれなりの実績がある業者に発注するのが一番。日本以外では第三者によるチェック・検査が発達していて「安かろう、悪かろう」を防止できる仕組みがある。(この第三者によるチェック・検査は当然その分だけコストがかかり、効率も悪くなる)

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