渥美万奈 賛
女子ソフトボールのショート、渥美万奈が昨年引退していた。以下のいきさつで2021年の東京オリンピック女子ソフト決勝を実況放送のダイジェストで見直した。ここに改めて渥美万奈さんに対する賛辞を呈する。
2022年8月9日、「日米対抗ソフトボール」が行われ、日本が勝ったという記事を新聞で読んだ。あの、金メダルをかじられて有名になったピッチャー後藤が完封して1:0で勝ったとあった。後藤もさることながら、名ショート渥美を見たかったので試合の動画を見たが、どうも渥美が出ていない。おかしいと思ったら、2021年12月に引退していた。
日米対抗ソフトの動画を見たいと思って「女子ソフト動画」かなんかで検索したら、捜していた日米対抗より、東京オリンピック決勝の映像の方が多かったのでこれの実況放送のダイジェストを見て渥美のスーパープレーを再確認した。
俺は東京オリンピック・女子ソフト、アメリカとの決勝戦で日本が勝ったのは渥美万奈がいたからだ、と思っている。ランナー3塁の先制のチャンスで地面にボールを叩きつけて1塁にヘッドスライディング…内野安打にした、しぶといと言うか執念の打撃。1塁2塁のピンチで3塁手がはじいたライナーをそのまま取って素早くセカンドに送球してダブルプレーにした集中・反応の素晴らしさ。これらはホンの一瞬の差でアウト・セーフがひっくり返るプレー。一歩間違えてアメリカに有利な結果になれば試合そのものの流れがアメリカに行ってしまいかねないプレーだった。それをことごとく自分のものにしていく凄まじさ。どのくらい鍛錬した結果なのだろうか?たまたま幸運でそうなったとは思えない。渥美のそれまでの鍛錬の積み重ねがそれを当然の結果としてもたらした。そんなことをオリンピック決勝でやってのけるなんて…そして何より上野投手*1とは違って目立たないように一歩も二歩も引き下がる遠慮深さ。木村多江に似てると思った。(今回落ち着いてヘルメットなしの写真を見ると、外見はあまり似てない*2。それでも性格というか、風情は木村多江と共通したものが…)ジェンダー満載*3で言えば「つつましやかな日本の女」「出しゃばらずに陰で夫を支える賢妻」という感じ。見た目若いと思っていたので引退するなんて全く思ってなかったが、昨年12月に32歳で引退していた。東京オリンピックで金メダル取って燃え尽きたのかな?
それにしても解説の宇津木妙子元監督。イイネ。大好き。ソフトボール愛に満ちている。完全に日本だけを応援し、日本負けるな、日本が勝ったら声をからして「よくやった!」と絶叫。これくらい無邪気だと笑うしかない。現監督の宇津木麗華を養子にして、親子関係かと思ったら違っていた。Wikipediaによると、中国代表だった麗華の日本への帰化に反対していた麗華の父親(元軍人!)を口説き落とした、とある。(宇津木姓は帰化に際し、単に麗華に上げただけらしい)結果的に麗華は日本女子ソフトに大きく貢献している。ただし見方によっては日本女子ソフトを宇津木親子で私しているようにも見えるところが危なっかしい。いくら強くても、いくら愛していてもいくら無邪気でも個人商店は危ない。女子ソフトがメジャーになるためにはこのあたりを外部に開いていく必要がありそうだ。でも、そうすると宇津木ワールドが見られなくなって詰まんなくなる。複雑な心境。
これは、世界に門戸を開いてメジャーになったが「道」をはずれ、日本人にとっては面白くなくなった柔道と同じ道を歩むのか、それとも頑なに鎖国して日本流を押し通し、メジャーになれ(ら)ない剣道の、どちらの道を取るか、という問題と同じ。
結局は「金目」かな?柔道があれだけ世界でメジャーになったのは柔道で飯が食える、金が稼げる、となったから。そもそもスポーツなんてのは金持ちの道楽・暇つぶしから始まったもの。金がからめば、スポーツではなくなる。そういう意味では剣道とかソフトボールの方が本来のスポーツの姿を残しているのかも。
*1多分上野投手も謙虚なお人柄だろうと想像する。メディアの取り上げ方、切り取り方のせいだろう。ただ、上野投手をそういうキャラにして売ろう、という意図があって、上野もそれに乗っかっているのは確か。
*2外見が木村多江に似てないからと言って不細工という訳ではありません。ヘルメットをかぶったお姿は木村多江に見えた。
*3ジェンダーフリーの反対語って何だ?ジェンダーリッチかな?そう思って調べたら反対語は分からなかったが、ジェンダーフリーって言葉は日本人の発明らしい。
閑話休題>>>
なんのことはない、YouTubeには「渥美万奈 好プレー集」まである、大人気者だった。俺より渥美のことが好きなファンがたくさんいるんだ!それで知ったのだが、金メダルを取った後、地元浜松に行っている。金メダルをかじられてはいなさそうだ。渥美が出場している日米戦の英語版実況放送も見た。英語が聞き取りにくいが、アメリカ人(?)の解説者が渥美の守備を絶賛しているように感じた。というか、あ~あ渥美のところに打っちゃった、こりゃダメだ、と諦めている感じ。たくさんの渥美の守備映像を見て思ったのだが、送球が大リーグ張り。体勢が悪いと手だけで投げる。一生懸命プレーしている感じがないところが凄い。簡単そうに球を取って軽~く投げる…難しそうにはやらない。淡々と当たり前みたいに涼しい顔でプレーする。そこがクールで渋い。「ソフトボール道」を究めた達人の域。「芸」とも言える。職人と言うより達人。あるいは仙人か?
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