立川談志師匠
談志師匠の尊敬していた(一目置いていた)人:
・フレッドアステア
・色川武大、田辺茂一
・西部邁
・手塚治虫
以上 俺の好きな人、尊敬する人と一緒。
こんなに共通するのは面白いと思う。(もちろん共通しないことの方が多いが)談志の落語は面白いと思ったことはない。小噺やジョークは好き。冷蔵庫に何年も入れといたものを弟子に食わすといった理不尽、不条理を押し付けるのも落語らしくていい。
フレッドアステア:
ハプスブルク家が支配していたオーストリア=ハンガリー帝国生まれのドイツ系ユダヤ人の父親がアメリカに移民してきてドイツ系アメリカ人の母親と結婚。1899年に誕生。1906年生まれのビリーワイルダーという映画監督も似た人種・生まれ。(ただし、ワイルダーはナチから逃げるため自分でアメリカに移民してきた)アステア、ワイルダーの二人に共通しているのは1918年に滅亡したオーストリア=ハンガリー帝国の優雅さ、粋を感じさせるところ。アステアの最高傑作は談志によれば1948年のミュージカル映画”イースターパレード”。手足の先まで神経の行き届いた優雅なダンス。ちなみにワイルダー監督映画の最高傑作は1957年の”情婦”だと思う。(マレーネデートリッヒ主演、最後に大どんでん返し。)1900年頃生まれた移民1世2世がアメリカの第二次世界大戦勝利や1950年代の"golden age"を可能にした。俺たちの世代にとっては1950年代のアメリカは憧れの"golden age"である。古き良きヨーロッパ文化の残り香と新しいアメリカの豊かな産業・文明のいいとこどり。様々な国が発展する過程で古き良き文化と新しい文明がいいバランスになる10年間がある。日本では1980年代、韓国では2000年代、中国では2010年代。
色川武大、田辺茂一:
片や「9勝6敗を狙え、15連勝しようとすると無理が生じる。8勝7敗では寂しい」と言う相撲好きのギャンブラー。片や酔っ払いのダジャレ好き。二人とも脱力系、いい加減で器の大きさを感じさせる。色川さんの9勝6敗論は人生観でもあるが、もともとは麻雀で飯を食うための処世術でもあった…1回も負けない奴とは誰も一緒に麻雀してくれない。プロとして麻雀で飯を食っていくには9勝6敗でないと。
西部邁:
60年安保闘争の時の全学連の幹部。70年代に左翼活動家から保守に鞍替え。西部さんの平和憲法批判、平和主義批判に談志も共鳴。談志は「時々戦争をしないと人間はおかしくなる」と戦争の効用を述べていた。俺もそう思う。戦争反対、禁酒禁煙、人種差別反対、パワハラ・セクハラ禁止…理想論、理屈だけでは息苦しくて気が狂う。
手塚治虫:
談志は終戦直後に手塚作品に出合い、手塚作品を芸術と言い、手塚先生を手放しで天才、神様と呼んだ。俺にとっても手塚先生の”火の鳥”は「なんで生きているの?」の問いに答えを与えてくれた。
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