高校時代②
俺が高校生だった頃の1968年~1972年の出来事をWikipediaで振り返ってみると、ベトナム戦争泥沼化、ニクソン大統領誕生、反米反戦運動、70年安保闘争、文化大革命及びそれに刺激された共産革命(学生)運動、それに対する反動として三島由紀夫のクーデター未遂などの右翼の活動、あさま山荘事件、ビートルズ解散、大阪万博、 米ソの核開発・宇宙開発競争激化→デタント、 ニクソンショック(¥360/ドルの固定相場制から変動相場制へ移行)、米中接近、ウォターゲート事件発覚&ニクソン再選→辞任、日中国交正常化(台湾との国交断絶)、ローマクラブ「成長の限界」発表、小笠原・沖縄返還… などが上げられる。
ほとんど俺には関係なかったし興味もなかったが、接点のあったことだけ以下。
文化大革命:2010年頃「あれは毛沢東による権力闘争」と言われるまで、革命運動だと思っていた。 それを俺に教えてくれたのは天安門事件が起こった時日本に帰化した元中国人だった。 それから中国のことをいろいろ調べてみると中国の歴史って権謀術数、権力闘争の歴史であることが分かり、共産党も共産主義やイデオロギーなんかより権力の座にい続けることが最大の目標であるということが分かってきた。 「共産党支配になっても清時代と変わっちゃいない」という言葉も理解できたし、中国人の方が日本人よりよっぽど資本主義に向いているとも思った。清も共産党も少数派が民衆を支配している、という点では同じ。漢民族って面白い。満州族、モンゴル族…少数派の人たちが何百年間も自分たちを支配することを許す。(さて、共産党という少数派は何百年も支配者の立場にい続けることができるだろうか?…俺個人はせいぜい今世紀末までと思っているが…ITで共産党は厳しい監視をしていて反乱なんてできない、という人がいる。俺は一人っ子政策の結果少子高齢化が急速に進み民衆・百姓が自分たちの将来は明るくないと思えば…中国の歴史では、中国の民は支配者が誰だろうが、どんな体制だろうが自分たちが飯を食うのに困らなければ文句は言わないが、いったん、飯が食えないとなれば反乱を起こして支配者をやっつけてきた…それが分かっていて中国共産党は結構皆さんの不満・希望などを細かくリサーチしているようだが…)
最近、「文化大革命で唯一革命的だったのは、中国の親子関係を壊したことだ」という説を読んだ。 論語にある「君、君たらざれば去る」の君(上司)に対する忠と、「三度諫めて聞かざれば、すなわち号泣してこれに従う」の父親に対する孝を比べれば、言うことを聞かなければ見捨てられてしまう上司への忠より、親子の縁が切れない分、親に対する孝の方が上だった。 ところが、文化大革命で若者が毛沢東にそそのかされて親を反動的、反革命的だと密告するようになった。 共産党に対する忠の方が親に対する孝を上回るように。
三島由紀夫が自衛隊に乱入し、割腹自殺したということを、授業の間の休み時間に友人から聞かされた。 今考えてみると携帯電話もなかったのに、教室に居ながらにして彼はどうやってそのことを知ったのか、不思議。
あさま山荘事件:TVで実況していた。 このころがTVの絶頂期か? 事件の生々しい映像をライブで家庭に配信した。 こんな、筋書・段取りのない事件の実況中継は史上初ではなかったか?山荘を取り囲んだ警官がカップヌードルを食べるシーンがTVに映り、いい宣伝になった、と言われる。
ビートルズは音楽だけにとどまらず、ファッション、文学、映像、髪型(長髪)、恋愛、考え方などすべて斬新で格好良くて、解放感があり、若者の生き方全般に影響力があった。芸能人ぽくなくて自由にふるまっているという印象。 ジョン・レノンはアメリカ当局にとっては危険人物だったろう。 (特に共和党にとっては…トランプもそうだが、共和党の支持基盤はキリスト教原理主義者)無神論の歌を歌って流行らせちゃうんだから。 God is a concept by which we measure our pain.俺はこれをモジッてMoney is a concept by which we measure our gain.と言ってみた。 このブログを始めるまでRevolutionの歌詞にChairman Mao(毛沢東主席)が出てくるのは、「毛沢東を見習って革命起こそう!」なんていう意味かとぼんやり思っていた。 Wikipediaで改めてチェックするとそうではなくて、毛沢東の写真なんて持ってだせえ! という意味だったらしい。
かねてより、井上陽水の「傘がない」(「都会では自殺する若者が…」) はビートルズの a day in the lifeと似ていると思っており、このブログを書くにあたって「傘がない」をWikipediaで調べてみると、コード進行はグランド・ファンク・レイルロードのHeartbreakerに、歌詞はビートルズのa day in the lifeにインスパイアされた 、 とある。 そこで初めてHeartbreakerを聞いてみたが、単純なアメリカの失恋ソング。 いわゆるハードロック。 ビートルズの方が断然いいね。 a day in the lifeの歌詞はほとんどジョンレノンが書いたものにポールマッカートニーがちょっと加筆したみたいだけど、いろいろなことを妄想、想像させる。深みがあるって言うか…哲学的? ドラッグ効果?よく言えばアメリカは若い、悪く言えば底が浅い。いずれにしても「傘がない」は日本人がビートルズに影響されて作った作品としてベストだと思う。
大阪万博:一学年下の従兄弟と行った。 インド館のインド人女性が美人だったことしか覚えていない。
ベトナム戦争でアメリカの若者は疲れ、ドラッグ、フリーセックスに走り、ヒッピー、サイケ、カウンターカルチャーが流行り、素人の若者が行き当たりばったりでウッドストックなんていう4日間で40万人を動員する野外コンサートをやり、文化大革命の実態ががわからないまま毛沢東は革命の英雄扱いされ、反戦、反国家の運動が盛り上がり… 長髪とジーンズ(当時はジーパンと言ってたかな)はそういったものの象徴だった。だけど、日本の若者・学生の多くは就活の時期になると、髪を切ってこぎれいな格好で会社訪問してに会社に入った…このことを歌ったのが「いちご白書をもう一度」…俺は「いちご白書」の世代(団塊の世代*)のちょっと後の世代…映画は1970年のアメリカ映画らしいけど、見たことないし、あまり見たいと思ったこともない。歌は好きだ。
ニクソン大統領って、”こわもて”でいかにも共和党って感じだし、ウォーターゲート事件で任期途中でやめちゃったのであまりいい印象はなかったけれど、面白い存在。米ソ冷戦真っ盛りでソ連に勝ったり負けたりしてたが、1969年、アポロ11号が月面着陸に成功。アメリア人は宇宙競争に勝ったなんて言ったがソ連は「あんなのフェイクニュースだ、ハリウッドで撮影したものだ」なんて…。泥沼化し、いつまでも勝てないベトナム戦争の財政、若者の心に与えた負の影響は大きく、前任の大統領たちが続けたベトナム戦争から手を引くことを決めた(アメリカ史上初の敗戦ではなかったか?**)。冷戦で金を使わないようにしたい、と中国と仲良くしてソ連をけん制し、国際収支赤字解消のためドルの切り下げをした。このことは頭良かったし、実行力もあったと思う。一方でニクソンにとってはカウンターカルチャー、反体制なんてものは理解不能というか、叩き潰すべきものだったんだろうね。大統領をやめる直前にはジョンレノンに国外退去命令なんか出しちゃった…50年以上前の話。そのあと、アメリカはソ連と消耗戦を続け、ソ連を崩壊させ、グローバリゼーションと称して中国を手なずけようと資本主義を指南して2002年のWTO中国加盟もあと押しし、中国からの輸入に依存するようになる。一方で中国は米ロの間のロープの上をうまく綱渡りして、いつのまにか、アメリカと並ぶ大国になり…と今に続く。
以下、脱線:柄谷行人さん(”世界史の構造”2010年)によれば、グローバリゼーションが中国とインドに及んだことで資本主義を成り立たせる前提条件が失われたと言う。①資源の消費、自然環境の破壊が地球の限界を超えるようになり、資源の枯渇・環境破壊が大問題になる②労働者と消費者が存在しないと資本主義が成り立たないが、労働者と消費者の源泉は農民。世界中の農民人口の過半数をしめていた中国・インドの農民が労働者・消費者になると労働者・消費者の源泉が枯渇する。③資本主義が弱くるなる過程で資本主義下で行われてきた相互の合意・契約に基づく商品交換が行われなくなり、強い者が弱い者から略奪することが行われるようになり、国家間では戦争が起こる。(世界戦争もあり得る)④国連が求心力を保ち、各国で国家と資本への対抗運動が存在すれば世界同時革命が行われ世界共和国が出現する可能性がある。(カントの言った永久平和)
*団塊の世代って、人数が多く、声が大きくて影響力はあった世代。ただし、俺に言わせると「バスに乗り遅れるな!と叫んで我先にバスに乗りはしたが、そのバスがどこに行くのかについては知ろうともしなかったし興味もなかった。」俺たちはそれを見て「バッカみたい」とシラケた(しらけ世代)。会社生活で知り合った団塊の世代の皆さんに尊敬できる人は少なかった。高度成長を支えたのは戦前戦中生まれの世代。団塊世代は高度成長というバスに乗っかって偉そうにワアワア言うだけ。
**クリントイーストウッドが何かの映画で「俺たちは朝鮮戦争では勝てず、ベトナム戦争では負けた」と自虐的に言っていたように記憶する。1930年生まれで先人が第2次世界大戦でドイツや日本をやっつけたのを見た後、朝鮮戦争に行ったイーストウッド世代にとってはそういうものか?この文脈で言えばアメリカは湾岸戦争やイラク戦争みたいに勝てる戦争をやりたかったのかな?
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