自民党・JA・農家・農水省の四角関係
元農林水産省のキャリア官僚で、現在はキヤノングローバル戦略研究所の研究主幹を務める山下一仁氏がFRIDAY デジタルに投稿して
JAは兼業農家を抱え込むことで金融事業を回し、政治家に組織票を提供する。政治家は票のために減反を守る。農水省は規制と補助金によって権限を維持し、天下り先を確保する・・・という”からくり”=自民党・JA・票(農家)・農水省の四角関係を指摘。この四角関係が米の価格がおかしな動きをする原因であり、日本の食糧安保の無策という致命的な問題を引き起こしていると。
問題は、この”からくり”が本当に機能しているか?だ。何十年か前にはそうだったかも知れないが、今でも本当にそうなのか???単なるフィクションで、実はとっくに機能していないのではないか?俺が兼業農家の息子だったらまず、農家なんてやめたいと思うだろうし、親がそうしてたからって、農協に預金し続けるだろうか?補助金をもらって生産量を少なくしなければならないなんて、そんな将来性のない農業をし続けたいと思うか?そしていくら世話になってたって、JA様の言う通りに投票するなんてことはないのではないか。
一方で25年3月23日付けのDeep Research(Gemini)による「農林水産省における天下りに関する実態調査報告」によれば、確かに農水省からJAへの天下りは多い。
こう考えていくと、減反が問題の起源だと気づく。米の生産量を減らさなくてはならない、かといって一方で自民党は①減産(減反)見合いで農家を潰す(減らす)ことは情として忍びない②同時に選挙のことを考えれば票を減らさないために、農家の数を維持したい・・・この問題の起源はそこだ・・・米の生産量を減らす見返りに、農家に補助金を与え、米の単価を上げなくてはならないことがこの問題の大元だ。
自民党の意を戴して、JAは米単価維持装置兼補助金分捕りシステムとなり政府や農水省に圧をかけ、また票や天下りという”アメ”も提供する。
見返りに農家はJAに預金したり自民党に投票したりする。(それでも農家はきついし後継者がいなくなるから、兼業になる。)農水省もJA・自民党に肩入れする。
農家数は200万とか。ほとんどが兼業農家と考えられる。農家一家に3票として6百万票・・・日本の有権者数1億、投票率50%とすれば5千万票。前回の衆院選・小選挙区の自民、立憲民主、維新各党の得票がそれぞれ2千万、1千6百万、6百万・・・6百万票は、結構大きい。俺みたいな変わり者は少なく、「JAに世話になってるから、この人に投票しよう」という農家も多いだろう。
※減反は1970年から始まったそうだ。その30年後、日本の多くの会社同様、俺の会社がリストラと称して社員の指名解雇をした。俺はそのとき、「社員を減らさずにその分、一律に社員全員の給料を減らせばよい」と思った。だから、1970年当時、減反しても農家を潰してはならない、と考えたのはよく理解できる。でも、その結果が以下に述べられるような歪みを残したのだ。逆に「米が余ってるんだから農家も減らせ」と、シンプルかつ合理的に政府が判断したら、何が起こっていただろうか?実行は難しく、大きな混乱・禍根を残したのではないか?ということは、この四角関係は農家の票なんて関係ねえ、という政党が政権を長年握るか、農家の票が減って自民党が農家を見捨てるときまで続きそうだ。以下でも述べられる通り、皮肉なことに、かつて農家を守ろうとしてやったことが食料安保を軽んじることになっている。今から見れば、「問題の先送りをした」のだ。
食料安保をどうするか、この1点だけで総選挙やってもいいくらいの大きな問題だ。
そう考えると、郵政民営化が行われた当時の郵便局も似た境遇だったか?郵便局は自民党の票田で、何百兆円もの郵貯もある。世界的な規制緩和・民営化の流行から、郵便業務の民営化はせねばならなかった。JAの代わりに日本郵政が隠れ蓑というか、「救世主」になった。しかも、アメリカも郵貯や保険目当てに民営化を応援した。JAによる農家の温存はアメリカにとっては①自民党政権維持にはプラス②アメリカの米農家にはマイナスではないのか?
以下、 FRIDAY デジタルより引用:
亡国の「減反政策」
’24年夏に発生した「令和の米騒動」。昨年12月29日〜’26年1月4日の米5㎏あたりの平均販売価格が過去最高となる4416円を記録するなど、スーパーの店頭における価格の高止まりが続いている。この現象は、単なる物価高で片づけられる話ではない。日本国民の食の安全を脅かす危険性を孕んでいるのだ。
元農林水産省のキャリア官僚で、現在はキヤノングローバル戦略研究所の研究主幹を務める山下一仁氏は、今回の価格高騰の裏に潜む「日本の危機」について警鐘を鳴らす。
「もし有事が発生して日本のシーレーン(海上交通路)が破壊されれば、現在の日本の生産体制では、国民は半年も持たずに餓死します」
農水省や政治家が声高に叫ぶ「食料安全保障」の裏側には、国民の命より優先される巨大な利権が隠されているという。元農水官僚が告発する農政の深い闇とJAバンク「107兆円マネー」の正体とは──(以下、「」内の発言は山下氏のもの)。
「農水省は『食料安全保障』を叫びますが、彼らがやっていることは真逆です。農家に補助金を給付して生産量を減らす『減反政策』を約50年も続けてきた。これこそ亡国の政策です」
日本のカロリーベースでの食料自給率は38%に過ぎない。もしシーレーンが封鎖されれば、小麦や、畜産のための飼料穀物は入ってこなくなる。牛肉や豚肉の供給も止まり、日本人は戦時中のような「米中心」の食事に戻らざるを得ない。では、その際に国民全員が生存するために必要な米の量はどれくらいなのか。
「戦時中の配給基準は1人一日2.3合、茶碗で5杯分です。飽食の時代のいま、ご飯をこれほど食べる人は少ないでしょうが、おかずがない状況では米でカロリーを摂取するしかない。現在の人口1億2500万人で計算すると年間1600万トンの米が必要になります」
しかし、長年の減反政策によって生産が抑制された結果、現在の主食用米の生産量は700万トン程度しかない。
「輸入が止まった瞬間、物理的に食料が足りなくなるのです。100万トンしかない備蓄米を切り崩したところで焼け石に水。半年もすれば餓死者が出るでしょう。これが農水省の進める『食料安全保障』の正体です」
では、どうすれば現状を打開できるのか。解決策として、山下氏は「減反の廃止」と「輸出の拡大」を提言している。
増産と輸出に舵を切るべき
「日本の水田をフル活用すれば、1700万トンの生産は可能です。平時には国内で700万トン消費し、残りの1000万トンを海外へ輸出する。そうすれば農業は外貨を稼ぐ成長産業になります。そして、いざ有事となれば、輸出をストップして国内に回せばいい。即座に1600万トン以上の食料が確保できます」
輸出を平時の「調整弁」とすることで、有事の際の食料を確保するという考え方だ。「高い日本米が海外で売れるのか」という懸念に対し、山下氏はこう断言する。
「減反を廃止して米価が下がれば、コストの高い零細農家は生産を止めて土地を貸し出し、賃料収入を得る形へとシフトします。その結果として、やる気のあるプロ農家に農地が集約されれば、『規模の経済』(生産の規模が拡大することで、単位あたりの生産コストが低下する現象)が働いて、生産コストは劇的に下がります。今でも1ヘクタール未満の農家に比べ、30ヘクタール以上の農家のコストは3分の1です。
減反政策の中で、農地面積当たりの収穫量を増やす品種改良も抑制されました。現在の農地面積当たりの収穫量は、75年前には日本の半分しかなかった中国に追い抜かれ、同じくらいだったカリフォルニアに1.7倍の差をつけられています。逆に言えば、カリフォルニア並みの収穫量の米を植えれば、4割以上も安く作れるのです。品質面ではカリフォルニア米を凌駕しているのだから、価格差さえ縮まれば、日本米は世界市場を席巻できるポテンシャルを秘めています」
農業が輸出産業として自立すれば、「最強の備蓄」にもつながる。
「農水省は備蓄米を20万トン積み増すために500億円もの税金を使っています。私の提案を取り入れれば、税金を使わずに1000万トンという膨大な備蓄を持てる。国民の命を守る上で、どちらが合理的かは火を見るよりも明らかでしょう」
食料安全保障の観点からも経済的な観点からも、「増産と輸出」が合理的であるのは明らかだ。にもかかわらず、なぜ減反政策は維持され、米価は高めに誘導されるのか。山下氏はその背景に、JA(農協)の収益構造の問題があると解説する。
巨額のJAマネー
「JA農協が守りたいのは、市場規模わずか1.5兆円程度の『米』や約9兆円の『農業』ではありません。彼らが守りたいのは、JAバンクに預けられた『貯金残高107兆円』なのです」
JAバンクの預金者の多くは、農業に従事している人が圧倒的に多い。さらに彼らは農業のみで生計を立てる専業農家ではなく、会社員や公務員として働きながら週末に農業を行う、あるいは年金生活を送る「兼業農家」たちだ。彼らは農業収入はもちろんそれ以外の給与や年金収入を持っており、それらをすべてJAバンクに預金しているケースが多い。
「もし減反をやめて米価が下がれば、効率の悪い零細の兼業農家は耕作を止めてしまうでしょう。彼らが離農するとJAの組合員が減り、金融ビジネスの基盤である預金が流出してしまう。JAは何としても兼業農家を農村につなぎとめておきたい。そのために必要なのが、減反政策による『高い米価』なのです」
JAが集めた107兆円もの巨額マネーは、農林中央金庫(農林中金)によって運用されている。JAの実態は農業団体という側面以上に、巨大な機関投資家としての側面が強い。
「JAが政治活動を行って減反を推進し、昨年のように概算金(出荷された米に対しJAが支払う前払い金)を吊り上げてまで米価を維持しようとする。表面上は零細農家の味方に見えます。しかし、それらは『米作り』のためではなく、『金融事業の預金者確保』のために行われていると言っても過言ではありません」
この構造は、JA、政治家、農水省の相互関係によって固定化されている。JAは兼業農家を抱え込むことで金融事業を回し、政治家に組織票を提供する。政治家は票のために減反を守る。農水省は規制と補助金によって権限を維持し、天下り先を確保する。
「このトライアングルの中では、国民の食料安全保障や消費者・納税者の利益という視点が欠落しています。国民は減反の補助金のために税金を払わされ、高くなった米を買わされる。まさにマッチポンプであり、二重の負担を強いられている。食料危機が起きると飢えることになる政策に、国民はカネを払っているのです」
政策を転換しない限り、有事の際の食糧不足のリスクは解消されないと山下氏は憤る。
「減反という『亡国の政策』を撤廃し、世界に打って出る農業へと転換しなければなりません。そうしなければ、私たち国民は『高い米を買わされる』だけでなく、将来的な『飢え』のリスクにさらされ続けることになるのです。こんなに生死に関わる問題なのに、今回の選挙でも取り上げる政党はありません。全ての政党が零細農家維持で一致しているからです」
我々はこの実態を冷静に見極める必要があるのではないだろうか。
取材・文:酒井晋介
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