嗚呼、ルーマニア人

 1989年、ルーマニアのチャウシェスク大統領独裁政権が市民に追い出され、崩壊する様子を収めたビデオをNHKが再放送する。実に興味深かったのは、チャウシェスクが逃げたあと、市民が手書きで政治犯釈放命令を作り、残った(逃げそこなった)首相にサインさせるシーンだ。日本人だったら、命令書を手書きで作るなんて手間暇かけないで命令書なしで勝手に牢獄を破って政治犯を外に出すだろう。

もっとも、日本だったら、市民が何万人も集まって時の支配者を追出すなんてことをしないだろう。どんなに馬鹿でも汚くても、やっぱり「お上」は偉いのだ。日本人でお上を批判する者は、自分がお上に取って代わるつもりで批判するわけではない。そんなことをして支配者になった者は支持されないことが多いと思われる・・・例外的だったのが戦国時代だが、これもやがて平和というか揉め事のない安穏な生活を求めて江戸時代に入る。

市民が敵を”テロリスト”と呼ぶのも面白い。一歩間違えば自分たちがテロリストだ。ヨーロッパではテロリストとかナチと言えば天下の悪党・憎まれ役なのだ。

民主主義って、こういう人たちになじむ。ビデオが終わり、番組の最後に2026年現在のルーマニア人のアンケート調査結果がまた面白い。実に66%の人が、チャウチェスクはいい指導者だった、と言うのだ。これはロシアをはじめとする共産主義国家共通の現象ではないか?自由だ、民主化だ、とぬか喜びしたけれど、格差も自己責任もない昔の方がよかった・・・独裁制ってこういう人たちになじむ。

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