民意

 文藝春秋PLUSで1時間くらいの動画をたくさん見ることができる。面白かったのは日本史学者の東郷和人さんの天皇論と先崎彰容と成田悠輔両氏の対談「”22世紀の民主主義”に希望はあるか」 だ。

本郷さんによると、民意は文字化されると統合され、洗練され、共有され、広がると言う。

平安貴族たちには京都にいて民意などという発想はなかったが、鎌倉時代には武士は地頭となり地方に住んで不平不満を抱えた農民の意見に接した。(仏教も最初は天皇の求める鎮護国家、ついで教養ある貴族個人の往生のためだったのが、無学な農民でも『南無阿弥陀仏』と唱えるだけで往生できるという法然・親鸞が現れた)

平安時代までの農民は不平不満を抱えても文字化しなかったからバラバラだったが、鎌倉時代は貴族に加えて、武士などという新たな不労者を抱える程度には農業に余裕ができた。裕福になった農民が文字を習ったら一揆が起きるようになった・・・鎌倉時代とは農業の発展、生産性向上によって余裕ができた農民が一人前の人間として認められた時代だった。

文字化によって民意が統合、洗練され、広まって政治を動かすようになったのだ。エマニュエル・ドットさんも確か、識字率が経済や人権意識を向上させる、と言っている。

民主主義の起源はここだろう。民意が文字化されると支配者も無視できなくなるということ・・・文字を持つのが遅れた日本人は、もともと個人のアイデア・ノウハウを統合・洗練したり共有して社会運動化(公共化)するのは苦手で、一人あるいは家の暗黙知にしてしまい、普遍化しない・・・民主主義には不向き???・・・。

これが21世紀になってSNSが始まると、文字化どころか、映像も駆使して個人個人が不平不満を表現するようになった。成田悠輔氏によると、民意が24時間、あらゆるところであふれ出ているのだ。今や、”民意”は分散化し、また、短時間でコロコロ変わり得るものとなった。かつては何か月に一回、何年に一回の選挙で、その間に統合、洗練され広まったた民意を問うことができたが、現代社会では選挙だけでは民意を問うことはできない、ところが選挙に代わるものが発明されていない、と。

選挙は新聞・ラジオ・TVが民意を表し、何か月・何年もかけてゆっくり洗練していた時代のものだったのだと思う。(言い方を変えれば、新聞・ラジオ・TVといったオールドメディアでは世論を生み出したり操作することはできなくなった・・・)両氏とも「民主主義を守れ」などという無粋なことは言わないが、選挙だけでは民意は測れないから民主主義は成り立たないこと、一方で分散化し、短時間でコロコロ変わる民意を測る方法が見つかっていないということを指摘している。

AIがコロコロ変わる民意を探るツールになるのか?仮にAIが「偏りなく」民意をフォローできたとして、法律や政策が民意の変化に沿って短期間かつ極端に変わったら誰もついていけなくなる。

結局、問題は民主主義は真実とか正義とか善とか幸福とかを無視して民意に沿わなければならぬ、という所にある・・・これを俺は民主主義=ポピュリズムと言う・・・。そして変わらぬ真実とか正義とか善にこだわれば、独裁になる。

やっぱり3,4年間といった期限付きの独裁制しかないのではないか?極端にコロコロ変わる民意には左右されないという独裁制のよさと、その独裁が期限付き(民主制)というハイブリッドだ。

将来、

1.国連AIを作る・・・軍隊・兵器は国ごとに持たず、国連が占有し、軍事も国連AI任せ

2.各国の内政・外交は独裁制とする・・・期限は最低1年間。独裁者は1年たったら、以下の手順で選挙AIによって交代させられ得る

3.選挙AI・・・多数の政治家候補者について”偏りのない評価”をするAI・・・

4.既存独裁者に代わることを目指す次期独裁者候補は

①どんなAIを使って民意を探るのか

②そのAIが探った民意の変化をどういう風に取捨選択して実際の法律や政策に反映するか

を随時公表し、選挙AIが定期的に評価する(このプロセスは全部誰でも見ることができる)・・・選挙AIは候補者同士だけでなく、既存の独裁者と候補者の比較もし、随時その比較結果を公表し、あらかじめ決められたルールによって独裁者を交代する。

軍事は透明性と相反する。だから各国は軍事は行わない。各国の独裁者(候補)は、軍事以外の部分を全て公表して評価を受けるのだ。

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