安田武「型の日本文化」
安田武「型の日本文化」に「間」の芸として紹介されている、志ん生の「あくび指南」「強情灸」を聞く。「間」といっても志ん生演じる江戸っ子の「間」は、せわしない。気の短けえ、威勢のいい「間」だ。ゆっくりとした間ではなく、むしろ空白を取り去ってしまうような「間」。
これが江戸っ子の粋だ。つまり、命だ。江戸っ子を江戸っ子たらしめている何物か、だ。「のり」と言ってもいいかもしれない。
江戸っ子を滅亡させたのは明治維新だ。安田武さんによれば、明治維新以来、日本を日本たらしめていた何物か・・・間とか型・・・を日本人はどんどん破壊しつくして来た。関東大震災や大東亜戦争は、外から日本文化を破壊したが、明治維新は内から日本文化を破壊したと。
進歩、科学、言葉、話し合い、コミュニケーション、合理・・・そういったもので日本人は、日本文化を破壊してきた。
1890年生まれの志ん生は、かろうじて破壊しつくされる前の”江戸っ子”を体に残していた。志ん生は安田さんのような、江戸っ子好きにとっても代わるもののない存在だったんだろう。
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