政治と金 日米対比

ダイアモンド オン ラインに以下:

――野中広務さんが、官房機密費について記者団に対し、「政治評論家やジャーナリストにカネを配っていたけれど、受け取らなかった人が1人だけいる。それが田原総一朗さん」と話したことがありました。これは事実ですか?

田原総一朗:事実です。小渕内閣のとき、野中さんの使いの人が1000万円持ってきたので断りました。「総理大臣からのカネを受け取らない」というのは、つまり「総理大臣にケンカを売る」ってことですから、その後は一切取材ができなくなることを覚悟しなきゃいけない。にもかかわらず、なぜ僕が断ることができたのかというと、田中角栄さんが総理だったときの一件があるからです。

 ある日、田中角栄の首席秘書官が100万円持ってきたんです。僕が「受け取るわけにはいかない」と言うと、その秘書官が「受け取りを拒否したなんて言ったら、きっとオヤジは怒るでしょう。田原さん、オヤジを怒らせたら、自民党だけじゃなく共産党以外のすべての党で取材ができなくなりますよ」と言うんです。

 それでも僕が頑として受け取らないものだから、秘書官は諦めて帰っていった。すると、その2日後に電話がかかってきて、「田原さん、オヤジがOKしたぞ!」って言うんです。なぜかはわかりませんが、田中角栄という人は懐の深い人だったんですね。

 それ以来、歴代の総理秘書官がカネを持ってくるたびに僕は「田中さんに断ったのに、あなたのカネを受け取るわけにはいかない。田中さんを裏切ることになってしまう」と言って断ってきました。

――企業団体献金について、田原さんはどのように考えていらっしゃいますか?

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 企業や団体が「日本の産業をもっと良くしたい」と思って献金し、政治家もその産業全体のために使うのなら、僕は何の問題もないと思う。野党は揃って「企業団体献金は廃止すべき」と言っているけれども、企業団体献金がなくなったら選挙の費用がまかなえない。自民党はそこを心配しているんです。

 選挙のときに一般の有権者を説得するためには、地元の有力者に頼んで人を集めてもらう必要がある。そのためには有力者たちと会食することも大切でしょう。アメリカやヨーロッパでも同じようなことをやっているんです。ただ、日本と違うのは、飲み食いの費用についても「すべて公開されている」という点なんです。

なぜ日本では公開できないのか? というと、これには理由があるんです。僕は自民党議員に「なぜ公開しないのか?」と聞いたことがあるんだけど、その議員は「公開すると、『あの人には3回も接待したのに、自分には1回だけか?』という人が必ず出てくる。だから公開できないんだ」と言っていましたよ。

 だから僕は、自民党が裏金をやめることはできないと思っています。裏金をなくすには、政権交代を実現させるしかないんです。アメリカやヨーロッパで政治資金の透明化を実現できているのは、政権交代がしょっちゅう起こるからですよ。「下手なことをやったら政権を奪われてしまう」という緊張感が必要なんです。

――渡辺恒雄さんは「政界の腐敗を招いた原因は、経団連や経済同友会など財界の人間だ」と言っています。田原さんはどう思われますか?

 僕は財界が原因とは思わない。今回のような裏金問題の根本原因は2つあると思っています。

1つは「選挙に金がかかること」です。具体的に言うと、選挙区で当選するためには、その選挙区の有力者を口説かなきゃいけない。有力者には県会議員や市会議員もいるけど、そういった有力者に「地域の有権者に対して、自分に投票するよう呼び掛けてくれ」と頼むんです。そのためには、時間をかけて信頼関係を築く必要があるから、コミュニケーション構築のために飲み会を開く。この費用が「裏金」なんです。

 もう1つは「秘書の給与」です。日本では議員1人につき、給与を国費で負担する公設秘書は3人と決まっている。でもほとんどの議員は3人では足りないから、私設秘書を大勢雇っている。その給与に「裏金」が充てられているんです。

 アメリカやヨーロッパでは、選挙に際しての飲食費や秘書給与については、限度額を設けたうえで認めている。その代わり、使ったカネはすべて公開することを義務付けている。つまり透明化しているんです。

 これに対して日本は「一切ダメ」なんです。だから裏金化せざるを得ない。僕はこれに関しては、日本の法律が間違っていると思う。欧米のように「すべて公開」という原則をつくるべきだと思います。透明化しない限り、国民は納得できないよね。

>>>俺の知る限り、アメリカでは「献金の見返りに、特定の業界・・・例えば石油でも自動車でも・・・に向けた有利な政策・税制を期待(要求)」は横行していると思う・・・イーロンマスクがトランプに何十億だか何百億円を献金しているが、これを選挙でどのように使ったのかを正直に公開し、トランプが大統領になったらイーロンマスク(の会社)に有利な政策・税制を行ったら、献金という名の「賄賂」だろう。この”透明性”を見習うべきか?単に薄っぺらでわかりやすくて単純なだけだろう。日本人にはバカバカしい限りだ。トランプなどは露骨に「この業界に有利なこんな政策をするぜ」と、露骨に献金という名の賄賂を求める。不倫の口留めに不透明な”裏金”を使うより、こちらの巨額の利益誘導の方がよっぽど大きな問題だ。

献金が個人名義か企業名義かもあまり関係ないだろう。この点、イーロンマスクのように利益を独り占めする経営者が日本には少ないから、個人では献金しにくいという事情がある。日本も経営者の給料を何倍(何十倍?)かに増やして、納税すべき所得税の一部を政治献金でも寄付でもするよう義務付けたらいい?経営者の給料が増えれば今度は格差が大きくなった、と文句を言う輩が出て来る。

透明とは、隠し事をしないということで、日本人には似合わない。日本人は全てをさらけ出すことは好まないし、陰翳を礼賛する。透明でなければ資本主義も民主主義もダメ、というなら日本人には資本主義や民主主義も似合わない。実際、日本の資本主義や民主主義は「なんちゃって」だ。本物の資本主義や民主主義は「自分の頭で考える」個人が「自分と他人の間線を引いて」作るものではないか。「自分の頭と他人の頭の間の線」が細くて弱い日本人には難しいことだ。

そもそも資本主義や民主主義を後生大事にすべきかどうかという見方が必要かも。そうなると俺には何も分からない。


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