何十年間もtrampとtrumpを間違えていた
チャップリンの「ゴルフ狂時代」(「のらくろ」)を見る。
実におもしろい「くすぐり」が随所に出て来る。天才的だ。一番感心したのは、フルフェイスのヘルメットがついたarmour(中世風の甲冑)を使って一人二役を可能にしたアイデア。チャップリン演じる金持ちのアル中男が仮面舞踏会に出るため、armourを着る。ところが、フルフェイスのヘルメットのフタが締まってしまい、外から顔が見えない状態に。そこへ、この男とそっくりな放浪者(チャップリンの2役)が現れてドタバタが始まる・・・これならアル中男と放浪者が絡むことができる。びっくりさせられたのは、最後に放浪者がこのヘルメットのフタを開けるのだが、その時現れたアル中男の顔が放浪者そっくりだったこと。ずっと二人の顔が出るシーンを避けていたのに、最後になってそっくりな二人の顔を映すなんて・・・
この映画サイレントで、場面が変わったりすると”説明書き”が画面に現れる。これを見て放浪者のことをtrampと言うことを知った。The lady is a trampという歌があるが、俺は何十年間も、このtrampをtrumpだと勘違いして来た。trump=切り札で、「色々問題があっても、一刀両断に片づける女」だ、と思い込んで来た。そうではなくて、tramp=気まぐれ女、色々な男を渡り歩く尻軽女って感じかな?
ということでThe lady is a trampをYouTubeで聞き較べる。
元祖というべきかこの歌をヒットさせたFrank SinatraからLadyGaga&TonnyBennett,Anita O'Day,Ella Fitzgerald・・・
Sinatraのはいい。しっとり、という感じ。あまり、気まぐれ女っていう感じではないが。
Ellaのもいい。ベルリンのライブでピアノカルテットの伴奏で歌う(1960年)。ノリに乗ってる感じ。別の、オーケストラ伴奏のスタジオ録音も悪くないが・・・
SinatraとEllaが二人で歌ったのもあるが、イマイチ。ノリノリのEllaにSinatraが喰われてしまっている感じ。
Lady Gagaも素晴らしい。「歌がうまい!」と感心する。美空ひばりと一脈通じるところがあるかな?思いつくまま気の向くまま声や歌い方を変え、フェイクを入れる。映像では青緑色の髪の毛。これも似合う。悪くない。そして90歳のTony Bennett。御大という言葉がピッタリ。声も元気だ。
Anitaは彼女自分がtrampみたいなところがあるネ。気まぐれな姉御って感じ。でも歌はあまりいいとは思わない。ちょっとネバっこ過ぎる。
この歌、Lorenz Hart作詞。1937年。LorenzをWikiるとやっぱりユダヤ系。それだけじゃあなく、「周りの人々から、低身長で葉巻臭い自分のことを不快な人物と思われるに違いないと思っていた。この時代、同性愛者であることを明らかにできず、ハートは秘密にし続けていた」と。その上アル中。母親の死後、あとを追うように48歳で死ぬ。その代り天才的な詞を残した。それで十分だと思う。彼が生まれた意味、価値はあった。
turkeyとAlbuquerqueの韻なんて誰が思いつく?Mulligan Stew,Beaux Arts Ball,Noel Cowrad, Winchell・・・90年前アメリカで流行してたものが羅列されるが90年後の日本人である俺には良く分からない。コニーアイランド、ゼントラルパークといった地名が出て来るけど、名前は聞いたことがあってもどんな場所なのか?の知識がないからニュアンスが分らない。
そして、昔から引っかかっていたがカリフォルニアのことをcold and damp(寒くて湿っぽい)と言う。カリフォルニアって言えば暖かくて雨なんか降らないというのが通り相場。90年前はカリフォルニアは暗くじめじめしてたのか?それとも明るく陽気なカリフォルニアが好き、というヤツを揶揄してるのか???
閑話休題:
Under Armourって、「鎧の下に着るもの」ってな意味らしい。
トランプ元大統領もTrumpと綴る。切り札???。ジョーカーではある。
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