ライ麦畑でつかまえて
作者のサリンジャーは、この作品で「インチキ(phony)」という言葉を多用したとか。phonyという言葉をネットで当たったら、playing a phony roleという表現があることを知った・・・忖度したり、期待に応えようとしたり、流行っているから、みんながそうするから、その役割を演じる、という意味。江藤淳さんの言う「ごっこ」だ。
この作品の中ではぶっきら棒、不愛想なバーテンダーが有名人、セレブにはおべっかを使うのを見て主人公が「phony」と言う。
トレンドにうまく乗って受けるたり稼いだりするのもphonyだ。主人公が目に映るものをことごとく「phony」とぶった切るんじゃあ、反社会的、とも言える。
芸人が売れっ子になることを目指すか、それとも自分のやりたいことをせずに売れようとするのはphonyだとするのか、その葛藤。
1951年に出版されたこの本は、アメリカでは史上最多の発禁処分を受けた由。汚い言葉満載だった、ということもあったのだろうが、サリンジャーがユダヤ人だったこともあって、マルクス同様の反社会的危険思想と見られたのかも。
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