エミン・ユルマズさん素晴らしい!
トルコ生まれで東大を卒業後、野村證券に入り、その後エコノミスト(俺に言わせれば株、金、為替などの相場の予想師)になったエミン・ユルマズさんの講演。上さんが応募してくれ、当たったので聞きに行った。ユルマズさんは、2,3年前に「米中とも景気が悪くなってその金が日本に回って来るから日本の株は上がる」と予想して見事に当てた人。今回の講演も、感動的と言ってもいいくらい素晴らしかったので以下。(黄色でハイライトした部分は俺のコメント・推測)何が感動的かと言って、「当たるも八卦当たらぬも八卦、俺はこういう根拠でこう考える」と外連味のないところ。
ユルマズ哲学・大原則
1.ストーリー投資(”惚れた”投資)
株を買う前に「この会社はこういう所が素晴らしいから業績も上がって株価も上がる」と信じて(惚れて)株を買うべきだ。従って
①少々株価が下がっても、その惚れた点が維持強化されているなら株を売るべきでない(むしろ株価が下がったら買い足すチャンス)
②少々株価が上がっても、その惚れた点が維持強化されないなら株を売るべきだ。
2.PBR(Price Book-value Ratio:株価を純資産倍で割った値)が1を割ってる会社が多い日本は異常だ・・・例えば悪意の投資家がPBR0.5の会社の株を買い占めて、直後にその会社の資産を売り払ったら株を買い占めるのに使った資金の倍で売れる=資産価値100の会社を50の資金で買えるということ)
「これはおかしい(ガラパゴス状態だ)」と気づいて改善しようという力が日本の株式市場に働いているから、PBR1以上を目指して日本御株価は上がる。一方で自社の株・資産を安く買いたたかれるのを真剣に心配する会社は他人に株を買い占められる前に自社株を時価より何割か高い価格で買い占め、MBOして株を非上場化する・・・大正製薬、ベネッセ・・・
3.PER(Price Earnings Ratio=会社の利益を株価で割った値)が70近くになったら株価バブルを疑え。1989年のバブルの時はPER70だった。2024年3月中旬現在PERは16なのでバブルではない。(ただし、後述のようにAIだけはバブルだ)今のところ株価が上がってもPERがあまり上がらない・・・株価の上昇と同じくらい会社の利益が増えている。
4.過去を振り返ると日本の株価サイクルは「40年上げて23年下げる」だ。
日本で初めて証券取引所が出来たのが1878年。それから株価は上がり続け、1920年にピークを迎え、1943年まで下がり続けた。敗戦後、証券取引所が再開したのが1949年。それから1989年まで株価は上り続けピークを迎え、2012年まで下がり続け、2013年にアベノミクスで底打ちした。なお、大阪証券取引所の現物市場を東京証券取引所に統合したのも2013年・・・つまり、株価が上がり始める1878年、1949年、2013年にはそれぞれ証券取引所に大きな出来事が起こっている。
2013年に始まった株価上昇は2053年まで続き、日経平均は30万円になる。(「1927年に昭和恐慌が起こって株価が暴落したのが100年後の2027年に再現する」、という俺の予想は取り下げる。)
5.ギャンブルするな
資金がないから投資が出来ない、と言って大化けしそうな株に手を出しても90%失敗する。しっかり働いて生活を切り詰め、1千万円資金を貯めてから長期的にストーリー投資せよ。大化けする可能性がある小型株をNISAで買って10年間保持せよ。ストーリーから外れた場合や自分の思い描いたストーリーが実現しない確率が90%だ。ただし、そういう小型株を10銘柄買って、1銘柄大化けして10倍の株価になれば他の9銘柄で失敗してもチャラになたり、場合によってはトータルでプラスになることも。これがあるべき「テンバガー」だ。一発必中のテンバガーなんてない。9割失敗してもチャラにできるという余裕のある投資をすべき。
今年~来年の株価予想
日経平均株価が2万円回復した後のトレンドから、ユルマズさんは「2024年はこれから数か月間もみ合いして、遅くとも2025年2月には5万円を目指して再上昇が始まる」と予想。PBRという観点からも、また、中国マネーの行き先という観点からも日本株はまだまだ上がる。(ちなみに中国に向かっていた投資資金はインド、ベトナム、メキシコ、日本に流れている・・・インド、ベトナム、メキシコに投資するのもお勧めだ)
俺も全く同じ予想:これから数か月(最長1年間)4万円近辺でもみ合って再上昇する:
※直近7年の日経平均株価を振り返ると:
2017年6月:20千円回復→その後16千円と24千円の間で2年半もみ合い
2020年11月:23千円から26千円に上昇→その後24千円と30千円の間で2年半もみあい
2023年6月:30千円から33千円に上昇→その後30千円と33千円の間で半年もみあい
2024年1月:33千円から36千円に上昇
2024年2月:36千円から39千円に上昇
今年の株価急騰と日本投資家の動向
今年の株価急騰は中国マネーを中心とした海外投資家が大型株を買ったから。海外投資家は日本の会社のことなんて詳しく知らないから名の通った大型株中心で買う。日本の投資家は値上がりした大型株を買うのは諦め、中小型株情報を集めて買おうとしている。(この点、俺も全く同じ)海外投資家の買いが一段落したら日本の投資家の中小型株の買いが始まる。直近の企業業績を見ると大型企業より中小企業の方がよい。
円ドル相場と米国株
1ドル152円が最近の天井(底)。これを突破すると160~170円くらいまで円安になる。(円高要因はないから輸出株が有利)
米国株が下がると米ドルも下がる・・・米国株が下がると日本の投資家は米国株を売る。つまり米国株=米ドルを売って日本円にするので円高ドル安になる。
米国CPI(消費者物価指数)が3%の上昇まで下がったきりそこから下がらない。どうもパウエルFRBはこれ以上物価上昇を抑えるために金利を上げると景気が悪くなると考えているらしい。景気を悪化させたくないからあまり金利を上げないのではないか?つまり米国株はまだまだ上がる???
当面の投資の指針
日本株を買うなら、PBR1以下で輸出に強い大型株を買え・・・当面はこういう株が上がる。
日本/オルカン(或いは新興国)/米国株 それぞれ1/3ずつというのがリスク最小
※ちなみに俺の投信はオールカントリー(オルカン)が3、アメリカが1、インド1に対してそれぞれ毎月1万円の積み立てだ。株は全部日本株だから投信で少しでもバランスを取ろうという考え。当面の日本株の発注方針は「株価は上昇基調だから高値掴みを避けるべく、”配当(+優待)利回り5%”及び”その時の株価の1割安”を目処に指値して気長に待つ」だ。こうして待って、たまたま四半期決算が悪っかたりして急落するような株にヒットすれば買える。打率は低い。そもそもこんな株高基調の環境下で株を買おうというのが間違いだ。
その他、豆知識
1.会社四季報の情報活用
①日本企業の成長は来年も続く。ただし、成長率は鈍化する
②過去の経験から、四季報の見出しに使われる言葉が100%ポジティブになると株価は下がる。逆に100%ネガティブなら株価は底を打つ。2024年2月号ではネガティブワードが1つしかない。急騰した株価は調整に入る?
2.バブルとはITとかAIと名前がつけば何でも株価が上がる状況。バブルがはじけるとは本当によい会社だけが生き残るプロセス。今のAI株はバブルだ。(3月に日経平均が4万円を初めて超えた時、株価上昇ランキング上位に○○AI、あるいはAI○○といった名前の、聞いたこともない会社がたくさんあった。)
AIデータセンターには莫大な電力が必要。つまり、真面目に真剣に本格的にAIを使おうとするなら電力株も同じくらい上がらなくてはならない。
3.株価先行指数・・・いずれも2,3ケ月先行する
①Purchasing Manager's Index(購買担当者景気指数)・・・これが上がるということは企業の購買担当者の買い物が増えることを意味する。会社が新しい投資をするときにはこの価が上がる。これが上がればその後株価も上がる可能性大。
②バルチック海運指数・・・これが上がるということは、物が動いていることを示す。その後、景気がよくなる。
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