岩澤正和 羨ましい
ピザ職人、岩澤正和さんがイタリア・パルマで行われたピザの世界大会に挑戦する様子をTVで見た。日本産の食材にこだわる。小麦粉、チーズは北海道の農家を選んで通って何年もかけて開発。(トマトはどうしたか不明)「身の回りにある食える食材を食わないで食料危機っておかしいだろう」と、身の回りにふんだんにあって食べられていない食材、ヨモギを使ったピザを開発してパルマの世界大会に出ることに。ヨモギを食って育った合鴨をトッピングする。
師匠はサルバトーレ・クオモ。俺はピザレストラン・サルバトーレをやっているワイズテーブルの株主だから株主優待券をもらってはサルバトールに食いに行く。(この優待目当てに株を購入。配当金はゼロだが優待券で浮く食事代を株の購入価格で割ると利回り10%強)
岩澤さん、ヨモギと合鴨のピザをクオモさんに試食をしてもらう。(クオモさんが大分県・日田に住んでいる、という事も知らなかったし、日本語がうまいということも知らなかった)。クオモ師匠からオリーブオイルに日田産の唐辛子とニンニクを漬けこんだ”ラー油”(とクオモさんは言っていた)をもらってピザにかけることにする。
さて、世界大会当日。岩澤さん以外の職人は焼いた後にイクラだ、マグロだ、生の食材をトッピングするのが多いが、俺は本筋ではないと思う。それから大会はサステナビビティーだ、地産地消だとイタリア人にしては結構小賢しいというか、うるさい。イタリア人らしく「うまきゃあいいだろう」ではない。イタリア人も大変だねえ・・・
結局、岩澤さん、発表になった3位までには入賞できず。
岩澤さんの何が羨ましいか、って、理想のピザを求めて試行錯誤できるところ。岩澤さんの年は多分50歳前後だろう。俺がいたような古くて大きくてご立派な会社では自分の思いやアイデアだけでは試行錯誤なんてできない。特に50歳を超えたあたりでは、組織・部署のトップとなり、とっても不自由になり、お行儀よくしなくてはならなくなった。会社が嫌なら辞める、という自由さえなかった。(若者が辞めていくから、トップが辞めるなんてことは憚られたし、急に辞められると補充に苦労することも知っていた。)
今でも忸怩たる思いがするのは、成果主義、ポリティカルコレクトネス、コンプライアンス・・・その他の業務改善や組織の改革がことごとく失敗し、会社は自分で開発や改革することを諦め、儲かりそうな会社を買ったり、ダメな事業を売ったりし始めた・・・株主資本主義。俺たちの世代は、日本では株主資本主義はうまく行かないということだけは分かるのだが、代案が見つからず、押し流されるしかなかった。会社員生活の最後の10年間、俺のしたことと言えば、押し流されながら、株主資本主義その他に抵抗し、それらが産みだす弊害から部下の皆さんを守ろうとしたことだけだった。
岩澤さんにも経営するピザ屋があり、家族もいる。だからやりたい放題はできないだろうが、会社員時代の俺よりは自由だ。加えて自分でピザ作りが出来る。理想のピザ作り”道”を追及するのはある意味、単純だ。さてさて、俺もこれから岩澤さんみたいに極める道が見つかるかね???
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