90年前のチャップリンを見る

 たまたまTVでチャップリンの「街の灯」(1931年)をやっていたので見た。多分何十年か前に見たはずだが、他に面白いTV番組もなさそうだから見たら、実に面白い。一番面白かったところは盲の恋人のために金を稼ごうとボクシングの試合をやる所。レフェリーを盾にして逃げ回ったり、ゴングがやたら鳴ってそのたびに試合が止まったり再開したり・・・鍛え上げられた身体能力と反射神経(いずれもコメディアンとしての)とアイデアで笑わせる。

笑いの質・仕掛けが単純で大きな声を出して笑える。そしてチャップリンは天才だなあ、と、つくづく感心する。こういう、腹を抱えて大笑いをした後、しみじみ感心する、というのは中々できない経験だ。芸の力、と言ってしまえばそれまでだが。

恋人(女)の方はチャップリンが稼いで貢いだお金で目の手術をし、目が見えるようになり、立派な花屋の主人になる。一方チャップリンの方はその金を盗んだという嫌疑で捕まって牢獄に。ラストシーンでは、牢獄から出てきたチャップリンがボロボロの格好で花屋に行って彼女と再会する。すぐ彼女と分かるチャップリン。彼女の方はチャップリンを見るのは初めて。一目ではそれと分からないが、手が触れあったとたんにかつての感触がよみがえってチャップリンと分かる。一緒に見ていた上さんと「分からないね。失恋する。」と予想していたがハッピーエンド。これも実にいい終わり方。なんといってもチャップリンの側から「俺だ」と名乗りを上げないところが素晴らしい。(このころのアメリカ人は粋だった)

白黒のサイレント映画で、これだけ面白い。白黒の傷だらけ映像でも、音無しでも、想像力で素晴らしい映画になる。CGやら高画質やら高音質などは想像力を殺すだけ。俺は想像力が刺激される方がいい。

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