映画ガントレット
高倉健の殴り込みをイーストウッドが演じる。勝ち目のない相手に、勝つためでなく、意地でぶつかっていく。大馬鹿野郎。その大馬鹿野郎に女が惚れてついて行く。警察の腐敗も描いているが、それより馬鹿な男の殴り込みに重みがある。警察の腐敗は堕ちていくアメリカの象徴。この映画が製作されたのは1977年だが、ベトナムで負け戦をしてからアメリカの地盤沈下が白日の下にさらされた。(地盤沈下したからベトナム戦争に負けたとも言える)沈んでいくアメリカに対するいら立ち、絶望とわずかな希望・応援がイーストウッドの映画には横溢している。これがたまらない。
警察の悪徳長官の「命令されれば警官なんて誰でも撃つさ」というセリフがあとで利いてくる。警官たちは最後は命令に背いて撃つのをやめた。そして悪徳長官が射殺されるのを傍観した。大勢の警官に象徴される物量で勝ってきたアメリカが個人の訴えに負けるというエンディング。2008年のグラントリノではイーストウッド演じる年取った男は不良ブループにわざと射殺されて不良グループが逮捕される。これも殴り込みの変形。年取って力のなくなった男なりの殴り込み。
イーストウッドはまだ、アメリカに希望を感じているのだろうか???聞いてみたい。90歳過ぎて、さすがにもう映画は作らないだろう。
それにしてもアメリカの警察ってしぶといね。1970年代から腐っている、と指摘されてきたのに、2020年代になってもまだ腐ったまま残っているんだから。
コメント
コメントを投稿