ウクライナ戦争:プレジデントオンラインより(清水克彦さん)

 ウクライナ戦争の原因、経緯に関する疑問が、プレジデントオンラインン記載の佐藤優さん、大前研一さん、清水克彦さんの記事で大体解消したように思う。

<清水克彦さん:やはりウクライナにもオードリータンがいた。

21世紀型の戦争は、銃火器を使っての攻撃や空爆だけにとどまらない。開戦前もそうだが、開戦して以降も、自国に都合のいい情報だけを公表し、一般市民への海外からの情報は遮断し、反戦機運が高まらないよう徹底して抑え込むことが不可欠になる。相手国に対しては、サイバー攻撃や通信基地への攻撃を行い、デマを流したり、相手国の軍を違う目標に誘導したり、あるいは、インターネットやSNSを使用できなくしたりするデジタル戦争も重要な鍵となる。その点、ロシアは、情報統制によって国内の不満分子をある程度抑え込み、ウクライナ軍の無線通信を電波妨害で遮断し、前線で戦う兵士に虚偽の指令を送信して別の目標へと誘導するなど、これまで得意としてきた戦術を駆使してきた。ロシアのプーチン大統領(以降、敬称略)にとって最大の誤算は、「侵攻後、2日か3日で首都キーウは陥落させられるだろう」という見通しが甘すぎたことのほかに、ゼレンスキーがSNSを通じ、圧倒的な「メッセージの物量作戦」で国民を鼓舞し、国際社会の多くを味方に引き入れたこと、そしてウクライナ市民も、日々刻々と変わる戦場の様子を国際社会に向け発信し続けたことだ。プーチンは得意なはずの情報戦で敗れ、苦戦を強いられているのだ。まさに、ことわざで言う「川立ちは川で果てる」(川に慣れている者は川で死ぬことが多い=人は得意な部分で油断し失敗しやすい)である。

人前にほとんど出てこないプーチンとは異なり、ゼレンスキーは日本や欧米での議会演説、TwitterなどSNSを通じてのスピーチなど精力的に発信を続けている。軍事力で10倍近い差があるロシアを相手に「言葉」で戦っていると言ってもいいくらいだ。(絶えず口を動かすのはさすが、ユダヤ人コメディアン!)

その発信を支えているのが「Starlink」である。これは、人工衛星で宇宙からインターネットに接続できるサービスを提供するシステムで、立ち上げたのは、アメリカの電気自動車テスラや宇宙開発を行う「スペースX」の創業者として知られるイーロン・マスク氏だ。ゼレンスキーが大統領に当選した2019年の時点からSNS戦略を指揮してきたミハイロ・フョードロフ氏(現在の副首相兼デジタル改革相)が、ロシア軍が侵攻を開始した2日後、Twitterでマスクに「システムを提供してほしい」と呼びかけ、協力が実現した。

侵攻当日、ゼレンスキーから対ロシア情報戦を指揮する仕事も任されるようになった31歳のフョードロフは、途切れることなくゼレンスキーや自身の発信を続けるため、より安全な「Starlink」に目をつけ、ロシア軍にデジタル戦争を挑んだ。

「私たちはここにいます。自由のために戦います」
「世界は私たちとともにあります。勝利は私たちのものになります」

軍の兵士や市民に「勇気を与える」として話題になったゼレンスキー語録は、フョードロフとマスクの協力によって築いたプラットフォームから国際社会に発信されている。

それだけでなく、各国首脳にSNSでロシアへの制裁とウクライナへの支援を求め、「ロシア=悪玉、ウクライナ=善玉」として、ロシアを世界経済から遮断することまで成功したのである。その手腕はただ見事というほかない。

台湾には、ゼレンスキー同様、メッセージ力に優れた総統、蔡英文がいる。また、35歳でデジタル担当相に抜擢された唐鳳(オードリー・タン 現在は40歳)氏もいる。中国と台湾の軍事力の差は、まさしくロシアとウクライナの関係に匹敵するが、情報戦では引けをとらない、むしろその上をいくのではないかと筆者は見る。 

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